犬の糖尿病発症、季節や地理的条件との関係は?

文:尾形聡子


[Photo by Patrick Hendry on Unsplash]

いまや成人の10人に1人がかかっている糖尿病。現状の対策を続けているだけでは、今後さらに罹患率が上昇していくと予想されています。すっかり身近な病気となってしまっていますが、あらためて糖尿病とは、膵臓でつくられるホルモンのインスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖が増え血糖値が高くなってしまう病気のことをいいます。

人の糖尿病には大きく分けて1型と2型があり、1型はインスリンがほとんど分泌されなくなることにより血糖値が高くなるタイプです。若年〜幅広い年齢で発症し、治療にインスリンの投与が必要とされます。自己免疫反応によって、インスリンを分泌する細胞(ランゲルハンス島にあるβ細胞)を破壊してしまうことが主な発症原因です。一方2型はインスリンが分泌されにくくなったり、作用が弱まったりすることで血糖値が高くなるタイプで、中高年に発症することが多いものです。生活習慣や遺伝が主原因となります。

犬に発症する糖尿病は、人での1型糖尿病に類似したものが主になります(猫は2型に類似したものが多いそうです)。発症年齢は1歳未満の犬もわずかながらにいるものの、主に成犬以降に発症率が高まっていきます。また、人の1型のようにインスリンを分泌する膵臓の細胞の極端な減少によるインスリン欠乏を特徴とするため、治療方法としてはインスリンを投与することが求められます。

人の1型糖尿病の診断においては、これまでに、高地、日照時間の短さ、寒冷地、冬と関連していると報告されています。なぜこれらの要因に関連して診断が増えるかは完全にわかってはいないものの、ビタミンDの合成低下やインスリンの感受性低下などに影響を与える可能性があるためと考えられています。

犬においてもこのような地理的、季節的な要因と糖尿病診断との関連性が見られるかについての研究は

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