クリスマスカード&年賀状の季節!素敵な愛犬写真を撮るためのトレーニング

文と写真:藤田りか子

もうすぐクリスマス、そしてお正月。愛犬の写真で素敵なカードを作ろうと思っている人もいるのでは?!今回は、愛犬の写真を素敵に仕上げるための撮影の腕、ではなく、モデルとなる愛犬の腕(?)を上げるトレーニング方法を伝授しよう。

「子供と動物の写真を撮るのは一番難しい」とよくいうものだ。なにしろこちらが思う通りにポーズを取ってくれないし、その動きは突拍子もなくほとんど予測不能。せっかく撮った写真もピンボケなんてよくある話。インスタにあげたくても使い物にならない。とほほ。

そこでシャッタースピードの速い高価なカメラを使えば、どれほど素敵に撮れるか、と思うだろう。しかしモデルの配置や背景をどう活かすか、など構想を練っていなければ、一眼カメラで撮影したとしてもよい写真はあまり期待できない。

スマホでもこの通り!

モデルの配置、つまりここでは愛犬の配置ということになるわけだが、そこを押さえていればスマホでも十分によい写真を作り出すことができる。特に最近のスマホに搭載されたカメラは性能がとてもいい。もちろん走っている犬など動きのある写真を撮るには限界があるが、ポートレートなら十分。そして、愛犬をモデルとしてトレーニングしておけば、配置は自由に決めることができて、よい写真が撮れること請け合いだ!

これまでたくさんの犬の取材をしてきたが、撮影をして楽しいのはやはり普段から飼い主さんとコンタクトがよく取れている犬である。飼い主さんのいう通りに、座ったり立ったり走ったり。自由が効くので、こちらのインスピレーションも湧き撮影もスムースに進む。一方で、そわそわして一向にじっとしていられない犬はホント撮影者泣かせ。短い取材時間の中でよいシャッターチャンスを見つけるのは至難の技だ。せめて「マテ」ぐらいできていたらなぁと思うこともしばしば。

というわけで撮影者の視点から「せめてこれぐらいモデル犬としてトレーニングしておいてね」リストを下に紹介しよう。これをマスターすれば撮影者の腕に関係なく、素敵な愛犬写真が撮れるはず。

1. まず「マテ」ができること

よい愛犬ポートレートを撮るための黄金ルールだ。もちろんガサガサしている犬が止まった瞬間を捉えるという方法もあるが、それには撮影者のスキルやカメラの性能も要される。犬がコマンドでじっとしていることができれば、好きな位置に犬をおくことができるし、背景の選択にも自由度が増す。

撮影用のマテのトレーニングの際に絶対に習慣づけてほしいことは、マテの後に決して呼び戻しをしないことだ。うまく待てたらあなたが犬のところに行くべし。そしてそこでご褒美。犬をこちらに来させないことだ。なぜ?

犬の頭の中には「マテの後におかあさんのそばに行ける、そしてご褒美をもらえる」という図が描かれているはずだ。つまり犬の楽しい期待感は「おかあさんの側」にある。できるだけ早く撮影者のところに行きたがり、すぐに動いてしまう癖をつけてしまう。そうならないようにするためにも、我々が犬のところに行くべし。楽しい期待感はあくまでも「自分が座っているところ」と学習させる方がよりその場で待てる犬になる。

景観のいいところを見つけるとすぐに犬をモチーフにして景色をとりたくなる!岩の上にラッコとアシカを立たせてスマホで撮影。

2. 前方を集中するトレーニングを入れておくと何かと便利

いつもカメラ目線の写真ばかりじゃ、ちょっとつまらない。時にはどこか他の方向に目線が向けられている写真もシャキッとしていてかっこいい。もちろんヘルパーさんがいて、その人が犬の目線をカメラとは別の方向に向けるよう犬を喚起してくれれば撮影も楽。だが、それを独りでもできればなおグッド。それにはどうするか?

「前方に集中させるトレーニング」を入れてみよう。下の写真はミミチャンにそのトレーニングを入れて撮影したもの。John Deererのカッコいい冬用ジャケットを着ている姿を見せびらかすために撮った。

どうしても座ってしまい、立って静止することができなかった子犬のミミチャン。テニスボールを前方に投げて、それに集中している間にパチリ。

前方に集中トレーニングは、ボールやトリーツなどを犬の2mぐらい前に投げ、じっと止まってそれを見つめ続けていたら、投げたものをご褒美として取りに行かせる、というもの。期待感は犬の前方にあるので、前述したようにこちらがシャッターを切る前に、前に走って行ってしまうというリスクはある。しかし犬はいずれ前に行けるとわかっているのでしっかり見つめてくれる。この真剣な眼差しがよい写真を作り出す一つの効果でもある。丹念にトレーニングをすればきっとうまくいくはず。トレーニング上達のコツは、前に行ってもいいよ、というシグナルをきちんと決めること。なお、前方を集中する行動はドッグスポーツでも何かと使いようがある。もっと丹念にトレーニングをしたいという人は、こちらから(↓)。まず基礎を学んでみるといいだろう。

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基礎ができたら、このブログにある動画1のトレーニングを参照に。

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3. くわえて保持するをトレーニングすると写真のバリエーションが増える!

昨年の我が家のクリスマスカード。クリスマス系の犬着がなかったので、かわりにトナカイのぬいぐるみをアシカにくわえてもらった。傘が写っているのは、この年の12月、スウェーデンでは雪が降らず雨続きの天気だったから。

物品をくわえて保持できる、という技が入っていると写真のバラエティは格段に増える。カメラにおさめるためには、少なくとも5秒の間は保持してほしい。そのためのトレーニングはこちらの記事を参考にされたい。

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昨年作ったニューイヤーカード。大晦日に飲むスパークリングワインとビールのボトルをくわえさせて。

12月に開催されたノーズワーク競技会でディプロマを勝ち取ったラッコ。表彰状をくわえてもらい、ツリーの前に座らせクリスマスカードとして使った。