犬の「よく生きる」と「安楽死」: スウェーデンの動物に対する尊厳死観

文:藤田りか子

[Photo by Chaim Gabriel Waibel]

他の欧米国と比べ、スウェーデンの動物ウェルフェア観の特徴は、動物の五つの自由のうち「正常な行動を表出する自由」を非常に重要視する点にあると思う。筆者はスウェーデンに移住する前に、しばらくアメリカにも住んでいたので、肌感覚を通してそう感じている。スウェーデンの動物保護法には、犬、猫、そのほか家畜動物にその習性にあった飼養が与えられるよう、動物の種類別に細かい規則が定められている。正常な行動を表出する自由を強調しているのがわかる。

車椅子の動物のウェルフェア

少し前のことになるが、SVT(スウェーデンの公営放送)のウェブサイト上で「動物医療はどこまで倫理的に許されるのか」というディベートが行われた。その中でスウェーデン農業科学大学動物環境衛生学部動物行動学研究者のエーリン・ヴィベールさんは、脚を失い車椅子を装着された猫のYOUTUBE動画について言及しながら、視聴者に疑問を投げかけた。

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