文:尾形聡子
[photo by Sachet Dube]
不安と恐怖は、人や動物が生きのびていく上で大切な感情のひとつです。それゆえに危険を察知したり有害な状況を回避したりできるのですが、度が過ぎてしまえば病的になってしまいます。それは人だけでなく犬でも同様です。
病気とまではいかずとも、周囲環境にビクビクしがちないわゆる「ビビリ」の犬は、生活の質が下がるばかり健康状態や寿命にも悪影響を及ぼし、ひいては飼い主の幸福度の低下にもつながる可能性あることが科学的に示されています。つまり、怖がりすぎる状態の犬は「人と動物の健康と環境はお互いに密接な関係にあり、それらを総合的に良い状態にすることが重要」とするワンヘルス(One Health)、ひいてはワンウェルフェア(One Welfare)の概念とも関係してくるものです。
ビビリ犬の福祉の低下に関しては「ビビリの犬は動物ウェルフェアに関わる問題です」をはじめ、犬曰くではこれまでに数々の記事の中で触れてきました。そこには生育環境や社会化経験などの環境的な問題、持って生まれた部分である遺伝の問題などが複雑に絡んできますが、近年、犬の性格や行動の問題と飼い主の性格特性との関連性に焦点を当てた研究も行われるようになってきています。たとえば