[Photo by Rikako Fujita]
お待ちかね、犬曰くチャレンジ第2弾、結果発表です。「ノーズワーク、マンネリ・サーチから脱却作戦」と題して、今回は前回よりすこーしだけレベルアップ。コンテナーサーチとエクステリア(インテリア)サーチのコンビ、ハイドは2箇所という設定でのノーズワーク・チャレンジです。前回の課題で多くの人が1箇所ではなく2箇所を探すという技能を新しく習得されたかと思います。今回の課題はまさにその応用編です。課題の詳細はこちらをご覧ください。
そして今回は前回をさらに上回るエントリー数をいただきました。そしてなんと全員ターゲット臭での部門での参加。みなさん、犬曰くチャレンジにご興味を持ってくださって本当にありがとうございます!
審査項目
審査項目は
1. ハンドリングと犬との関係性
犬が邪魔されず気持ちよくサーチできるよういかにハンドラーがリードを扱っていたか?2つ目のターゲット臭への切り替えを上手に行えていたか?
犬との協調性はみられるか?犬を褒めていたか?ハンドラーと犬が楽しくサーチをこなしていたか?
2. 犬の自主性
手助けを与えずとも犬は自主的ににおいを探していたか?
3. 犬のサーチテクニック
集中をして積極的ににおいをとっていたか。探索を効率よく行っていたか?あるいは丁寧に行っていたか?
4. サーチのセッティング・アイデア
犬のサーチを披露するためのサーチエリアのレイアウトの面白さやハンドラーのクリエイティビティはあったか?
5. レポート
どのようにみなさんが工夫をして練習をしたかを今回は簡単なレポートにまとめてもらいました。
以上5つの項目につき10点が最高点として与えられます。満点は50点。
さてワクワクの結果発表の前にまず審査員の藤田りか子さんから一言。
犬曰くチャレンジ2回目の審査をつとめさせていただきました藤田りか子です。今回のチャレンジでは嬉しい驚きがありました。それは、みなさんのレベルが第一回目に比べて格段にアップしたということです。コロナ真っ只中で練習だってままならない人もいたかもしれません。にもかかわらず素晴らしい飛躍でした。
今回はみなさんのレベルがあまりにもアップしたので差をつけるための採点がとても難しかったです。ほとんど全ハンドラーが犬の自主性を前面に出してのサーチでした。余計な介在をせず、犬が嗅覚作業に集中できるようにとても上手にハンドリングをしていました。
結果発表
優勝ペア:市川麻美さん&アメリカン・コッカースパニエルのリリー組 50点!
👏👏👏👏おめでとうございます🏆🎉
審査評
犬の自主性、そして犬のサーチ感覚のよさ、ハンドリング、とても気持ちよくサーチしているのがわかる市川さんのリリーちゃんへの明るい褒め言葉。満点のパフォーマンスです。リリーちゃんのサーチはエリアを隅から隅までばっちりカバーしていましたね。そしてハンドラーはただ犬についていくだけ。にもかかわらず犬がサーチしやすいように上手に協調している様子もわかります。サーチセッティングもとてもユニークです。動画では見づらいかもしれませんが、市川さんはコンテナーとして捨ててしまう前のプラスチック製のキャップを再利用したということです!それを何個かブランコを中心に整列の状態で配置。2つ目のハイドはなんとブランコの枠に!このサーチデザインの面白さは、ブランコのような揺れるものにあえてハイドを置いたところ。自分の頭上で何か大きなものが揺れるというのを嫌う犬は多いものです。それでもリリーちゃんはしっかり鼻をつけて探し出しました。それもブランコの椅子の裏!これも実はとっても犬がみつけにくいスポットなんですね。
この度犬曰くチャレンジ出題を担当した五十嵐廣幸です。ボーボーと強くマイクが吹かれている音からも風が強いことが分かります。少年がスケボーで遊び、さらにブランコがあるというエリア。難しい要因が満載。フェンスのところで仮想の入り口を決めて、始める前に数秒待ってました。いいですね。犬が最初のターゲットを見つけた後、トリーツを与えてすぐに次のターゲットに向かわせるタイミングも抜群です。最初のターゲット臭に戻った時も、しっかりサポートしてました。またハンドラーのブランコや支柱をすり抜けながらのリードワークや犬との距離のおきかたは、この難しいサーチを成功に結びつけた大きなサポートです。文句なしの満点サーチです。
準優勝:上田ゆさきさんとチワワのサリー組 49点 &近藤奈緒子さんと琉球犬ミックスのやんばる組 49点(五十音順)
今回は同点準優勝、お二人ともおめでとうございます!🌸🌺
上田さんゆさきさん&チワワのサリー組 ノーズワーク
近藤奈緒子さん&Mixのやんばる組 ノーズワーク
審査評
上田さん、近藤さん、ダブル準優勝おめでとうございます!今回でお二人は2度目の入賞ですね。まず上田さんとサリーちゃんのパフォーマンスについて。犬は目的意識をきちんともってにおいを探しているのがわかります。ハンドリングも前回に続き申し分なし。欲を言えば、今回は慣れている家の中ではなく外でやればさらにチャレンジ精神が見えて、よかったなと思いました。今回は接戦だったので差をもうけるためにサーチセッティングのところで1点減点にしました。犬は非常に上手にサーチをしているので、実はそんなに大事なことではないのですが!
上田さんとサリーちゃんのパフォーマンスについて。普段はトリーツを入れて使っているであろう知育玩具数個をサーチエリアに置くなどして、犬の気を散らそうと考えたレイアウトはナイスアイディアです。2つ目のサーチへ向かわせるコマンドもハッキリと伝えていて分かりやすく二重丸。とにかく明るさが伝わっているのがいいですね。サーチが終わったあともしっかりと褒めてる。これがサリーちゃんのサーチへのモチベーションを高めていると思います。今度は風など気象条件の変化がある環境でのサーチが見てみたいですね。
近藤さんとやんばるちゃんのパフォーマンスについて。ノーズワークに慣れたペアであることがはっきりわかります。まずスタートのところですでに犬ににおいを嗅がせています。やんばるちゃんはターゲット臭に対する意識もはっきりしています。2つ目のハイドはご本人によると思ったよりもあっけなく見つけた、ということですが、ハンドラーがまったく誘導をせずに犬任せにしていたのは好印象が持てます。最後にハンドラーの喜びがもう少し見えていれば、と思い、1点減点。これも実際の競技会では関係ないことですが、今回は接戦で差をつけるために止むを得ず、です。
近藤さんとやんばるちゃんのサーチ、地面、椅子、樹木という高さを使った面白い設定です。犬はスタート段階でターゲット臭の方向を分かっていたと言わんばかりにまっしぐらに向かって行っていきました。実力のあるペアなのでもう少し難しい環境でのサーチを見たかったかな…?2つ目のターゲットを見つけた時には犬にもっと喜びを伝えてあげて欲しいと感じました。
惜しくも入賞を逃してしまったペアの皆さんへ!
前述したように今回は差をつけるのが困ってしまうぐらい全員が素晴らしいサーチをしたので、入賞を果たせなかった方は決してがっかりしないで欲しいと思います。というのも全ての参加者が本当の競技会で競えるほどの実力を見せていたからです。入賞者とそれ以下の人たちを分けた理由は、以下の点です。
- 犬のサーチ能力を活かせるようなレイアウトではなかった
- 隠し場所を知っているためにハンドラーの誘導がうかがえた(犬の動きについていかなかった)
- サーチのルーティン化が犬にやや欠けていた
- レポートに工夫した点や練習をどのように改善した点などの記述がなかった
特に2番目の点については大幅に減点をしました。競技会に出たい人は要注意です。