加齢による難聴と高齢犬の認知機能との関係

文:尾形聡子


[Photo by Maria João Correia on Unsplash]

嗅覚のみならず聴覚も優れている犬は、人よりも高音域を聞き取れ、遠く離れた場所で鳴っている音も聞こえると言われています。自分には聞こえていない音を愛犬がキャッチして反応した、というのは日常においてよくあることです。

しかし、人も犬も加齢とともに感覚機能が低下していくため、若いときには反応していた音にだんだんと気づかなくなっていきます。人の場合では、65歳以上の3分の1の人が加齢性の難聴(老人性難聴)であると推定されています。そして、老人性難聴のある人は認知機能低下のスピードが30〜40%はやく、高血圧や肥満などのほかのリスク因子よりも何よりも認知症のリスクがもっとも高いことが報告されています。認知症のみならず、聴覚の低下は社会的孤立やうつ病とも関係しており、高齢者の生活の質(QOL)の低下につながることもわかっています。

それでは犬の場合はどうかというと、加齢に伴う聴覚低下がもたらす影響についてはあまり研究されていないのが現状です。犬の寿命が長くなってきている昨今、聴覚の低下が犬の心身や生活にどの程度影響を及ぼしているかについて知ることは、犬の老化に対する理解を深めることにもなります。そこで、アメリカのノースカロライナ州立大学の研究者らは、犬の加齢と聴覚、認知機能、QOLがどのような関係性にあるのかを調べるために研究を行いました。


[Photo by Jack Plant on Unsplash]

聴力は認知機能に影響をしているか?

研究には、

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