ノーリッチ・テリアとブルドッグ2犬種に見られる呼吸問題に影響する遺伝子変異が発見される

文:尾形聡子


[photo by adam w]

短頭種はマズルが短く頭部全体が丸いという特徴的な外見を持ちますが、それゆえに、気道閉鎖症候群(brachycephalic obstructive airway syndrome:BOAS)と呼ばれる深刻な呼吸器系の病気を発症しやすいことが広く知られるようになりました。短頭種が短頭種たる形態を持つようになったのは、ひとえに人の選択繁殖によるものですが、その形態を獲得してきた背景には短頭種となるような遺伝子変異の積み重ねが存在しています。

短頭種があのような形態を持つのは遺伝子の働きによるものであり、かつ、それが主要な原因となり呼吸器系の病気にかかるものだと考えられていましたが、同じ短頭種であってもBOASの臨床的な所見にばらつきがあるため、頭蓋骨の構造とは別に何らか原因があるのではないかと考えられていました。

最近『PLOS Genetics』に発表された研究によれば、ブルドッグとフレンチ・ブルドッグに関しては解剖学的な形態だけが呼吸器系疾患に関与しているわけでないことが初めて明らかにされたそうです。

ノーリッチ・テリアの上気道閉塞症候群から研究を開始

イギリスのエジンバラ大学、スイスのベルン大学などからなる研究チームでは、短頭種の気道閉鎖症候群の症状の多くをあらわす上気道症候群(Upper Airway Syndrome:UAS)が、中頭種にもかかわらずノーリッチ・テリアに発症しやすいことに着目しました。

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