鳥が落ちた場所を正確にマークするレトリーバー技能

文と写真:藤田りか子

鳥の落ちているところをハンドラーの横でじっと観察。しっかり「マーク」しておく、という意味で、マーキングという。

レトリーバーの素質の中でとても大事な技能がある。それは「鳥が落ちたところを覚えておく」ということ。この行動を「マーキング」とも言う。犬やオオカミがおしっこをひっかけてテリトリーを主張する行動もマーキングと言うが、それとは別の言葉として理解されたい。ちなみに北欧のノーズワークの世界でマーキングというと、犬が隠されたにおいを探し出して告知をしたこともさす。というわけでマーキングという言葉、他にもいろいろ定義がありややこしい。状況別に解釈してね。

アシカが一歳をすぎた頃、ワーキングテストという競技会に彼女と出場することを決心した。ならば早速彼女のマーキング能力を磨かなければならぬ。スウェーデンのノービス・クラス(ビギナークラス)におけるワーキングテストではマーキング能力をみることに終始する。そこでは発砲音とともにダミーが投げられる。要は鳥が撃ち落とされた、というシナリオなのだが、きちんとマーキングをしている犬なら、ピンポイントで鳥(ダミー)が落ちた場所に到達できるはずだ。そしてすぐさまくわえこちらに持って来る。逆にマーキングができていないと、まず犬は落ちた場所から全くそれたところにたどり着き、そしてダミーをみつけようとあたりをぐるぐる走り回る。これではもはやマーキングとはいえず、サーチ(探す)となってしまう。ぐるぐる走り回り始めるのは空中臭を頼りになんとかダミーのにおいをキャッチしようとしているから。以上より、審査員が満点をくれるパフォーマンスというのはおおよそ次のような要素で成り立つ。

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