文と写真:藤田りか子
はい、本当です。理論的に考えれば分かりやすいと思う。そもそも嗅覚世界、人間の感覚で感知できない。そこにどうして私たちがとやかく指示を与えられるというのだろうか。おすわり、ふせ、脚側行進をやってもらっても、犬の嗅覚が冴えるわけではない…。
実はノーズワークを習ったばかりの頃、じゃじゃ馬ラッコのドタバタを抑えるために、サーチに出す直前「おすわり!」を強要していた。私に注意を向けてもらうことで、行動を統制しているつもりだった。が、そのうちこれがどんなに誤ったハンドリングであるか、トレーニングを重ねるうちによ〜くわかるようになった。「行きたい、行きたい!」と意気込む彼に、今はもう間違っても「おすわり」などと口にしない。その代わりハーネスのハンドルを持って物理的に抑えることにしている。
最初の頃、ノーズワークのスタート地点で私はこんな風にラッコにおすわりをさせていたものだった。
どうして「おすわり服従」を要求しないほうがいいのか?