愛犬ダイエット、みんなでやれば怖くない!グループ・ダイエットのすすめ

文と写真:藤田りか子

体重オーバーの肥満犬が最近多くなったのは、日本だけの悩みにあらず。ここスウェーデンでも同様である。
ちなみに、スウェーデンで肥満に陥り易い犬種は、ラブラドール・レトリーバー、ダックスフンド、シェットランド・シープドッグ、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルなど。日本とほぼ同じだろう。

スウェーデンには、獣医にリハビリセンターが併設されている施設がいくつかあるのだが、そのようなところでは「減量プログラム」というものをセット料金で提供していたりする。そこでは、ダイエットをどういう風に行っていくか、食事の仕方、運動の量など、もろもろの日常管理スケジュールを指導してもらえる他、施設のプールで水泳をする機会も与えられる。

最近、犬雑誌でも紹介され注目を浴びているのは「グループ・ダイエット」という方法。飼い主一人で愛犬ダイエットに取り組むのではなく、同じ悩みを持つ犬仲間と行うというもの。みんなと一緒に行えば、互いに悩みを話し合えたり、また途中でギプアップすることなく続けてゆくことができる。あるいは、一人でやるにはなかなか気が進まなくても、仲間がいるとつられてがんばろうとする。人間のダイエット・プログラムにも同じようなものがあるが、これを犬の減量作戦に使わない手はない。

何はともあれ、スウェーデンのイェンシェーピング市、ヴァッラ動物病院・リハビリセンターは、この方法で楽に愛犬の体重のほぼ25%(4分の1)を減らすことができる、という成果を誇っている。

愛犬ダイエット、一人よりもみんなでやる方が楽しい!

何しろ、ダイエットを始めるには食事と運動のみならず、ただしい知識が必要である。リハビリセンターではグループごとでセオリーを学ぶ座学からはじめる。肥満とは?肥満から生じる健康の問題とは?などなど。それにくわえて、教室ではみんなで討論することもあれば、互いに経験を分かちあうこともある。どうして自分の犬はこんなに太ってしまったのか、他の飼い主達といっしょに、そんなディスカッションから始めてゆく。すると話し合っているうちに、だいたい共通のパターンというものが見えてくるそうだ(実は夫がこまめにトリーツを与え続けていたとか)。そして、自分と愛犬とのつきあいに対する、新たな客観的「画像」というものが見えてくる。

一人でやるよりもグループの方がいい!もし、このグループ・ディスカッションがなく孤独にプログラムを実行していたら、自分勝手な思い込みを作っていたかもしれないし、見過ごしてしまった事実もあったかもしれない。さらなる利点は、自主性が培われる点だろう。ダイエット・セラピストによって「上」から指図されるがごとく、自分と愛犬との生活習慣の間違いを指摘され「ハイ、ハイ」と従順に受け入れるだけよりも、同じ悩みを持つ飼い主同士で話し合う方が、はるかに「悟り」の度数というものは高くなる。いわば「他人の過ちを見て、わが身を振り返る」効果が高いともいえる。

座学の他に、このプログラムではみんなでアクティビティも行う。一緒に散歩をしたり、ちょっとしたスポーツを行ったり。アクティビティを通して、ある参加者はトレーニングやしつけをするときにトリーツを使いすぎてはいないかと、日ごろの習慣を観察され、指摘を受けたのも興味深い。

「おかげで、トリーツを使って愛犬の気持ちを惹くのではなく、遊んだりいっしょにじゃれたりして犬の気持ちをこちらに向けることができるんだということがわかったんです」

トリーツだけに頼らず、遊ぶことでより犬との絆が深まった、あるいは「よし、いい子だね!」というほめ言葉だけでどう犬にこちらの気持ちを伝えるか、その術も学んだ、とこの参加者はあとで語っている。ダイエットだけではなく、犬との関係を作るうえでの思わぬプラス効果があったというわけだ。

ただ散歩の量を増やせばいいというものではない。こんな風に「持って来い!」遊びを減量作戦に取り込むこともできる。こまめに動いてもらうのが大事だ。特に鼻をつかわせるから(物品を探すために)、精神面も活性化され、さらなるエネルギーを燃焼できる。

グループ・ダイエット・プログラムにアクティビティを含めるというのは、とても効果的だろう。多くの飼い主は、一人で行っていると自分が怠けたいがためにどうしても「食事療法」だけに頼りがち。それでは犬に不公平というものだ!飼い主もいっしょに身体的な「努力」をせねば。

犬ができるだけ自由に与えられた空間を走れるように呼び戻しトレーニングをさせる、という訓練が含まれるのは、さすが犬しつけ大国スウェーデンならでは。つまり単調な散歩の繰り返しだけではなく、犬にも楽しくアクティビティを楽しんでもらいたい。苦痛だけのダイエットは面白くない。草の茂みに物品を隠して探させたり、飼い主と隠れんぼをしてサーチをさせる、ボールを投げて捕らせたりする。ただし、犬のコンディションも考えて、むやみやたらに走らせないよう気をつけなければならない(この点に関しても、グループ・ダイエットのセッション中はダイエット・セラピストが一緒についてくれるので、きちんとしたアドバイスをもらえることができる)。

あまりにも体重過多の犬には、長い散歩よりも水泳が勧められるとのこと。体重の重みによって、関節に負担をかけずにすむ。特に股関節を痛めている犬であればなおさら。多くのリハビリ施設にはプールも設けられているが、スウェーデンのこと、湖があちこちにあり、水温が18度以上であれば、そこで自分で済ませてしまう人も多い。これは日本にはないメリットかも!

(本記事はdog actuallyにて2012年6月6日に初出したものを一部修正して公開しています)