乳製品と犬 (1)

文と写真:アルシャー京子

どんな犬でも大好き、牛乳。美味しいけれどリスクあり。

犬はヒトの10倍以上ものカルシウムを必要とすることから、手作り食では供給がなかなか難しいとされている。

個人的には「成犬は骨を食っとけ」と言いたいところだが、適度な大きさ・硬さで安全なものがいつでも入手できるとは限らないから、日常的にみて牛乳はどうしてもカルシウム供給源として候補に挙がらざるを得ない。

牛乳を栄養の面から見てみると、乳蛋白のほかに乳脂肪、そして乳酸カルシウムにビタミンと、生まれてきた仔が育つために必要なものが入っているし、しかも乳酸カルシウムは最も体に吸収されやすい効率の良いカルシウム。

じゃあ、さっそく犬に! と、そこで問題になるのが乳糖の存在。

成犬は基本的に乳糖不耐症である。

これはアジア人の乳糖不耐症と同じで、歴史的に見てとても自然なことであり、何も嘆く必要はない。

巷ではまだ「不耐症」というものはアレルギーと同じと考えている人がいるが、それらはまったく別のもの。少量の摂取で反応を起こす「アレルギー」とは違い、「不耐症」は体の許容限度を超さなければ障害はないというものであることをまず理解しておきたい。

生まれてから数ヶ月ほどの母乳を飲んでいる期間は、母乳に含まれる乳糖を分解するためにラクターゼ(乳糖分解酵素)が体で作られるが、自然な状態では犬も猫も哺乳動物は離乳をするともう「お乳」を口にすることはない。離乳が進むとだんだん乳糖を摂る機会は減り、成長につれていつしか必要のなくなった酵素は作られなくなる。当然の合理的理由によるのだ。

では牛乳を犬のカルシウム源として与えたい場合、どうしたらよいか?を考えてみよう。

牛がダメならヤギではどうですか?

乳糖の摂取量を減らす

問題の乳糖が少ないことで牛乳の代替品として定番になりつつあるヤギ乳は、実は数字で見る限り、含まれる乳糖が牛乳に比べほんの1%ほども違わない。これにより飼い主の期待に反してもちろんヤギ乳でもダメな個体もいる。

だが先にも言ったように「不耐症」は体の許容を超えなければ問題を起こさないので、ということは何もヤギ乳でなくても牛乳でも、つまり量が過ぎなければOKと言うことになる。

不耐症状の第一はまず下痢。野菜の話に引き続き、ここでまたウンチの観察である。

それよりも手っ取り早く乳糖不耐症の人用に販売されている乳飲料を使うのもひとつの手だ。これらはあらかじめ大部分の乳糖が分解されているので、まず問題を起こしにくい。

また「成犬用ミルク」としてネット販売されているものには間違った説明をされているものや、成分表示がないものが多く、いまひとつ信頼感に欠けるので、気をつけたいところ。

それよりもスーパーで手軽に、しかも安価に入手できる人用の乳飲料はおすすめである。

(本記事はdog actuallyにて2008年9月26日に初出したものをそのまま公開しています)