お呼ばれ犬への道 (1)

文と写真:アルシャー京子

友人の誕生日パーティにて。このだらけ具合が好評で毎年呼ばれるうちの犬。

私達が犬と暮らしていることは友人達にも良く知れていて、パーティーや食事へはいつも犬を含めて招待してくれる。呼ばれていった先の家に犬がいるわけでもないのに、ただ家族同様にうちの犬はどこにでも一緒に招待されるのだ。

これまでうちの犬が呼ばれて行った先は数知らず。クリスマス前後の挨拶回りは当然のこと、義父の還暦や叔父の全快祝い、伯母の葬式といった内輪の席に限らず、従妹や友人の結婚式に子供の誕生会と個展のオープニング(ベルニサージ)、引越しパーティーに仮装パーティなどなど、親戚・友人が集う場には必ずうちの犬はいた。

伯母の葬式には親戚の犬も出席。大好きだったおばあちゃんにさようなら。

いて何をするわけでもないけれど、こういうことは参加することに意義があるらしい。テーブルの脇で大人しく転がっている犬を通りすがりの人は必ず撫でてゆき、子供たちはうれしそうにこっそりご馳走を持ってきてくれたりすることもあった。

招待されても犬を連れて行かなければ「犬はどうしたの?」と聞き返されることもある。家においてきた、と答えると誰もが「なんで?かわいそうに」という。相手に気を使ってわざわざ犬に留守番をさせたのに、逆に責められてしまって腑に落ちないことも。

みんな大らかなのか、大雑把なのか、はたまたその両方か?お陰で私たちは犬がその場で迷惑をかけぬよう躾けるチャンスをもらい、犬は犬で場数を踏むことで人が集まる場での身の振り方を覚えた。

さて、すっかり前置きが長くなってしまったが、ここで「お呼ばれ犬」になるための鉄則とウンチクを挙げてみよう。

鉄則1: 訪問先に行く前に充分な運動と排泄を済ませる

訪問前の排泄は当然のこととして、何を教えるにしてもまずは基本となる「運動」。

とはいえ、出掛けのバタバタしているときに限り「充分」な運動をさせるのではただの付け焼刃であって、あまり効果はない。ということは「運動」とは普段から心掛けるべきものであるということ。

昔コンラート・ローレンツ博士は、犬の本能から来る欲求(ここでは運動に対する欲求)をタンクに注がれる水に例えて言った。

「犬の体を『タンク』、体に湧き上がる欲求を『タンクに注がれる水』とし、タンクの下部に付いている栓から『飛び出る水の勢い』が犬の行動にあたる。水はある程度一定の速さでタンクに注がれ、溜まった水が少なければ栓を開けても飛び出す水は少ないが、もしも溜まった水が多ければ水の圧力により栓から飛び出す水の勢いは強い」

これを図にすると以下のようになる。

欲求(①)がタンクに注がれても溜まった水位(②)が低ければ、大きな外部刺激(③)により弁(④)が開けられた時でも犬の反応(⑤)は小さい。

ところが欲求(①)がタンクに注がれて溜まった水位(②)が高くなれば、小さな外部刺激(③)でも弁(④)が開けられ、水の圧力により犬の反応(⑤)は大きくなる。

なるほど。

普段から充分な運動を心がけることにより犬の欲求タンクに水を貯めずに済むということだ。

(本記事はdog actuallyにて2008年12月9日に初出したものを一部修正して公開しています)