食物繊維と犬 (1)

文と写真:アルシャー京子

良いウンチは犬のためのみにあらず。かっちりしたウンチは拾い易く飼い主想いでもある。

犬の食餌を手作りしている飼い主にとってウンチの質を観察することは何よりも大事。犬の理想的なウンチとはずばり「力み過ぎずに出せ、跡を残さず、そしてキッカブル(Kickable:蹴り飛ばすことができる)」、硬すぎず、柔らかすぎず1日2回程度の頻度で排泄されることだ。

健康体のウンチの質を決める要素としてタンパク質の量やミネラルの量、そして食物繊維の量があり、今回はそのうちの「食物繊維」について考えてみよう。

犬の食餌を作る際、ヒトはどうも自分たちの食事と重ねて考える傾向にあるらしい。日本で言えば、よりたくさんの野菜を食材として取り込むことで栄養のバランスを整えようというものだ。考えは分からないでもない。しかし犬の体は人間と異なる点が多いことを忘れてはいけない。

犬の食餌で言うところの食物繊維とは、人間の食事同様に体の中で消化できない(あるいはしづらいもの)を指し、植物性繊維のセルロースをはじめ、海藻類やきのこ類に多く含まれる多糖類、そして海老・蟹・イカなどに含まれるキチンやキトサンに加え、動物の毛や爪を構成するケラチン、そしてフィブリンなどの動物性繊維、さらには消化し切れなかった骨や土などのことを指す。

腸内に摂り込まれた食物は食物繊維とともに腸壁に圧力を与え蠕動運動を促進する一方で、食物繊維は腸内細菌のエサとなりその繁殖に一役を買う。与えられた食物繊維の種類によって腸内細菌による消化産物は異なるから、食材によっては臭いオナラの返り討ちに会う事だってある。

ここで、「あれ?」と思った方もいるかもしれない。そう、犬の食餌ではこの食物繊維は何も一生懸命野菜などの植物から摂らなくても良いのだ。一般的に消化が悪いといわれる部類の動物性の食材を少量摂ることも、犬の長い歴史からすると計算のうちなのである。

この先はまたややこしくなるのでお茶をご用意ください。

現在厚生労働省の通達では、日本人成人の場合、約20g前後/日の食物繊維の摂取を目標とされているけれど、これって実はけっこう大変。ヤキイモを1本食べたところで目標量の半分にも満たないし、食物繊維を多く含む食材であるおからにしてみても、目標量を達成するには200g程度食べる必要がある。

犬の場合はというと、乾燥させた食餌重量の最低約1.5%程度は食物繊維を含んでいたいとのこと。

えーっと...乾燥重量といわれて市販のドライフードならばパッケージの表示を見ればすむことだが、手作りの場合はすぐにピンとは来ない。だからもうすこし砕いて大雑把な目安をあげておこう。

肉ならばその約65%、加熱前の穀類(米・小麦など)ではその約10%(加熱後には約60%)、野菜ならばその約90%近くが水分によって構成されている。つまり、特別汁だくさんなものでない限り、調理の終わったいぬめしの約60-65%は水分でできていると思っていい。

仮に体重10kgの犬が一日に食べるいぬめしの量を300gとしよう。そのうち約180-195gは水分であるから、残りの120-105gが乾燥重量で、そしてそのまた1.5%に相当する1.6-1.8gが食物繊維の目安となる。

これでもピンと来なかった方、次回はもう少し噛み砕いてみるのでそれまでどうぞお待ちを。

(本記事はdog actuallyにて2009年3月13日に初出したものをそのまま公開しています)