文:北條美紀
[Photo by The Casas-Rodríguez Postcard Collection]
コロナ自粛のせいでイライラがつのっているせいもあろうが、人の落ち度(らしきもの)を見つけると徹底的に叩くという風潮が強まっているように感じる。論戦を繰り広げたり、多様性を認識し合ったり、でも私は好きじゃないという結論に至ったりすることを問題視するわけではない。気になるのは、どちらかが正しくどちらかが間違っている、どちらかが優れていてどちらかが劣っているという思考パターンだ。
たとえば、「私は保護犬を飼っていますが、あなたはペットショップで犬を買ったんですか?」というような議論が愛犬家の世界で繰り広げられているが、これもどちらのスタンスが正しいのか、優れているのかという思考に陥ると、叩き合うような様相を呈してくるのではないだろうか。
他者と比較して優劣や正誤を確認したいという欲求は、レオン・フェスティンガー(Leon Festinger)の提唱した