2020年の干支 – ネズミにちなんだ犬の話

文:藤田りか子

[Photo by Jeffrey Sitthi]

あけましておめでとうございます!

さて、十二支最初の動物である子(ねずみ)年の2020年。年の初めの恒例、十二支にちなんだ犬ブログ、ネズミの巻である。犬とネズミ、何か関係があるものなのか?

ネズミといえば猫が宿敵ではあるが、いや、その点では犬も劣らず。歴史的に犬も害獣退治においては大事な役割を担ってきた。その代表的な犬種群が、テリア。名前(テラ=土)が示す通り、土中にもぐりネズミやウサギ退治をおこなってきた。これは決して過去の話ではない。今もテリアこそネズミ退治のスーパースター。スコットランドのボーダー地方の馬房を訪れたとき、そこにいたレークランド・テリアがまさにそんな犬であった。馬房の干し草の中からネズミをさっと捕まえ、すぐさまシャカシャカと振り殺したものだ。さすが!と息をのんだ。そのテリアは時に馬牧場の主人の乗馬のお供などをする愛玩犬という役もこなすのだが、1日の大半は害獣退治のプロとして馬房のまわりをうろうろしていた。

どんな風にテリアたちがネズミ捕りに活躍しているのか、以下の動画にて紹介しよう。これぞザ・テリア。テリアの本当の姿は決してカフェでおすまししている犬ではない。狩猟欲は燃えるようにギラギラ。チョロチョロと動くものを見たらいてもたってもいられなくなる。電光石火のごとくネズミを捕まえそして殺す!

Ratting with terriers

上の動画はイギリスのとある地方からだと思うのだが、歴史を通して現在にいたるまで農民と害獣退治犬としてのテリアとの関わりをまざまざと見せてくれる。この動画に登場しているテリアは狩猟系タイプのレークランド・テリア、パターデール・テリア(動画中の黒い小型のテリア)、そしておそらくジャック・ラッセル・テリアかパーソン・ラッセル・テリアあるいはそのミックスではないかと思う。

そして面白いのは、脚長のサイトハウンドもいっしょにネズミ退治に参加していること。この犬はラーチャー(サイトハウンドの血のはいったミックス犬。たいては狩猟に使われる)という。ウィペットほどのサイズのサイトハウンドであれば、こんな風にして実はネズミ捕りにも活躍していた。土から掘り起こされたネズミをテリアが逃したときに、サイトハウンドの俊足ぶりがどれだけ役にたっているか動画で確認されたい。テリアとサイトハウンドは実にうまく協調しながらネズミ退治を行っている。

こんなシーンを見ればサイトハウンドとテリアのミックスが犬種として存在する理由も「なるほど」と理解できる。そう、ベドリントン・テリア。ただしこの犬種でネズミ狩をする人は今はほとんどいない。ほとんどが家庭犬やショードッグとして飼われている。

 

1800年代のイギリスにおけるラット・ベイティングの様子。[Wikipediaより]

テリアの天才的なネズミ狩の才能をイギリス人はなんと「エンターテイメント」にも利用した。その昔、ときは1800年代。パブの地下でピット(囲い)をもうけ、そこにネズミを何十匹も入れて、テリアに片っ端から殺させてゆくというラット・ベイティング(ベイティング=流血を伴う行為)というスポーツがアンダーグラウンドで流行ったことがあった(写真上)。時間内に何匹のネズミを殺すか、それを当てる賭博スポーツになっていたのだ。なんと記録では5分間に100匹のネズミを殺したテリアもいたという。捕まえては振って殺す様子はさきの動画から想像されるとよいだろう。そしてさすがイギリス人というか、このスポーツに強いテリアもブリーディングによって作り上げた。その末裔のテリアが現在マンチェスター・テリアという名の犬種として残されている。

新年そうそういきなり血生臭い話になって申し訳ない。が、ま、これが犬という現実の一つでもある。優しい家族の一員という側面もあれば、動物を殺せる狩猟本能も持ち合わせている(そういう個体もいる、といった方がいいかもしれない)。このような狩猟欲を秘めている犬たちをどうしたら私たちは都会暮らしの中で満足させてあげれるのか、それを考えて欲しいとも思った。

2020年も犬曰くでは犬についてより公平でNo-Nonsenseな、より正しく新しい知識と情報をお届けします。乞うご期待!

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