愛犬のその興奮性、関節の過可動が原因になっているのかも?

文:尾形聡子

[photo by Erik Drost]

過度に興奮したり、怖がったり、不安そうにしてみたり。犬がそのような行動をとるのは、遺伝的要因や生育環境におけるさまざまな原因が考えられます。また、飼い主との関係性も少なからず犬の精神状態に影響するだろうことは先日の『犬の分離不安~犬と飼い主の愛着関係からさぐる』でも紹介したとおりです。さらに、原因のひとつとなり得るのが病気です。筋骨格系の痛みを抱える犬は騒音により痛みが増悪し、ひいてはそれが騒音への恐怖を引き起こす可能性があることも以前お伝えしました。

犬に限らず人においても、特定の病状や痛みが感情に影響を及ぼすのは広く知られていることで、実際に経験した、またはしているという方もいるでしょう。そのような病気のなかのひとつ、「過剰運動症候群(Joint hypermobility syndrome)」では、過剰運動症候群と患者の病的な不安感情とに関連性があることが1988年にすでに報告されています。

研究の世界での発見は早かったものの、そもそもこの「過剰運動症候群」という病気、病名そのものを初めて目にした方がほとんどではないかと思います(が、最近歌手の宇多田ヒカルさんがこの病気に罹っていると公表したのをニュースでご覧になった方もいるでしょう)。いったいどのような病気なのでしょう。そして犬とどんな関係があるのでしょうか? 

過剰運動症候群とは?

難病情報センターのサイトには、過剰運動症候群とは「全身の複数関節に過可動性を来す症候群で、変形や不安定性による機能障害を来す。関節痛、機能障害に至る重症例の頻度はきわめて少なく、正確な罹患率も不明である」と記載されています。原因については「家系内に同様の症状の集積の見られる場合もあり、テネイシン-X、コラーゲンなどを含め結合組織に関わる複数の原因があると考えられるが、原因は不明である」とある、原因不明の難治性疾患です。

はじめて過剰運動症候群と病的な不安感情とに関連があることが見出されてから後、過剰運動症候群の患者は恐怖や広場恐怖症、パニック発作といったさまざまな不安障害を起こしやすいことも明らかにされてきています。最近では不安障害に限らずさらに広範囲な精神状態とも関連性があるのではないかといわれるようになっているそうです。

それらに関連性が生ずるのは、過剰運動症候群に罹ると脳の自律神経系の反応の調節が不完全になり、独自反応を起こして感情状態の抑制がききにくくなるため、結果として感情のあらわれが強められるからだとされています。感情状態の制御がうまくできないことは不安障害となる危険因子のひとつと考えられています。さらに、患者の不安の強さは、痛みや関節の不安定さへの認識の強さとも関連している可能性があるのではないかとも仮定されています。

この病気と不安症状との関係について長々と説明したのは、いうまでもなく、これに似た状態が犬にも見られるという研究が発表されたからにほかなりません。今回、人以外の哺乳類で初めて明らかにされたことだそうです。

犬にもある、関節の過可動と行動特性との関連

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