パートナー泣かせの「あなたと愛犬」

文と写真:藤田りか子

Photo by Courtney Dean

夫婦や恋人の仲において

こんな状況に身に覚えがある人は要注意!」

という記事がスウェーデンのとある犬雑誌に掲載されていた。カップルのうちどちらかが犬を優先しすぎているといずれ関係を危うくするというものだ。おやおや!愛犬のために彼氏や彼女、あるいは夫、妻に嫌われてしまうのは意外に世の中でよく起きていることなのかもしれない。

筆者のパートナーであるカッレもこれまで我が愛犬たちに対し、随分と我慢を重ねてきた。いや違う、私に我慢をしてきたのかもしれない。「カップルの間のこんな危ない状況」というのが、まさに私と彼との生活のなかにいくつも見られたからだ。

その具体例を以下に紹介したい。

1. スウェーデンでは季節の行事や大型連休に何かと家族親戚が集まることが多い。だが、競技会や友人と犬のトレーニングスケジュールがそこに重なってしまうと、カッレと親戚一同には悪いが、私は犬とのアクティビティを優先してしまう。

2. たまには二人きりでレストランに夕食を食べに行こう、と誘ってくれるもののそのレストランが犬連れOKかさっそくネットで調べだす自分がいる。

3. そしていざ犬たち同伴でレストランに入ることになるのだが…。「伏せで待っててね」「あ、向こうの犬に気を取られなくていいから」とまずは足元の犬に全神経集中。ひと段落してとワインをすすっても、見つめているのは犬ばかり。会話も犬のことばかり。

4. 寝室のダブルベッドの半分以上のスペースが犬たちによって占拠されている。私は真ん中で犬にぴったりと寄り添って寝る。「女性は相手が人よりもむしろ犬と一緒に寝ることで心地よさと安心感をより強く感じていることが示された」という研究があったが、その結果どおり。一方カッレはベッドからもうすこしで落ちそうになるぐらい隅で寝ていたりするのだ。

Photo by Jared Murray on Unsplash

5. 「どうして、そこでトリーツあげちゃうの?タイミングがずれているでしょ?!」などと犬のしつけをできない彼をなじる。そのうち深刻な喧嘩に発展する場合も…。

6. 話をしてくれているが、私はほぼ生返事のみ。だが「今日のラッコのうんちはどうだった?」などと犬のことを聞いてくれると、途端に顔をあげ、そしていろいろと喋り出す。

7. 犬に話しかけるとき、途端に私の声のトーンが変わりやさしくなる。

8. あまり家事の手伝いをしないのだが、犬のこととなるとこまごまと私は体を動かす(スウェーデン人の男性はけっこう家事にまめだ)。

春になるとみんなでせっせと薪割り。次の冬に備える。でも手伝わないで犬と遊んでいたりするとカッレからとてもひんしゅくをかうものだ。実はこの薪の山を利用して私はアシカとノーズワークのトレーニングをした。

9. 気が付けば、スマホに入っている写真は犬のものばかり(カッレの写真は実はあまり撮ってなかったのかも?)。

10. カッレのお母さんの前で、我々が食べ終わった後の皿を全部犬になめさせ綺麗にしてもらった。

などなど。挙げてゆけばキリがない。こうして書きながら、わたしってカッレになんとひどいことをしてきているんだろうか、と我が行いに反省しきりだ。

愛犬の存在によって相手を悲しませる一方で、全く反対のケースもある。4年前のアイペット損害保険の調査によると、ペットの存在のおかげでむしろ夫婦の会話が増え仲が円満になったというケースが7割以上もあったそうだ。日本の場合、ペットは共同で飼うという意識が強いのかもしれない。あるいは子供の代わり?

となるとスウェーデンではカップルが独立しすぎているのだろうか?私にとって犬は大事なホビーでもありライフスタイルでもある。家族の一員ではあるが、同時に私のベストフレンド。だからといって決してパートナーを除外したいとは思っていないのだが!

みなさんの場合はどうだろう? ぜひFBのコメント欄にてお話を聞かせてくださいね。

【参考記事】

「ペットの存在は夫婦円満に良い影響がある」と考える飼い主は8割以上!―ペットが夫婦関係に与える影響に関する調査 - ライブドアニュース
ペット(イメージ) アイペット損害保険は、20代以上で犬・猫を飼っている既婚者を対象に、ペットが夫婦関係に与える影響に関するアンケートを実施、結果を公表した。調査人数は544人、うち男性263人女性281人、調査

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