留守番が苦手という愛犬のトレーニング・ツールになるか、Furbo ドッグカメラ

文と写真:藤田りか子

留守番中の犬を監視するカメラとして人気を誇るFurbo。日本のみならずイギリスやフランスでも知られているヒット商品だ。監視カメラにはいくつかのメーカーが存在するが、Furboの飛び抜けているところは、監視だけではなくスマホのアプリを使っておやつを与えられる機能があること。スマホの画面のおやつマークをクリックすると、トリーツがポーンとでてくる。これはちょっと面白い!

私の同居犬であるラッコは留守番が苦手。その理由は彼の生まれつきの性格もしかり、自宅がオフィスという環境故、家をあまり留守にしない私がトレーニングを少々怠ったためでもある。がFurboを使えば留守番トレーニングもできるのではないか?!

これがFurboの本体。スマホのアプリでトリーツを飛ばすことができる

このような文明の機器を犬に使うときは、ぶっつけ本番を行うものではない。留守番というシナリオは一番最後にくるべし。まずは私と一緒に機械そのものに慣れてもらうことから始めた。とはいってもラッコは肝が座っている犬。彼の場合、機械を怖がったりすることはまずない。おやつが出てくるときにFurboから奏でられる「ピュッピューン、ピュッピューン」という合図音に慣らしその意味を覚えさせることがキーだ。つまり音とおやつの関連づけをしてもらう。トレーニングを2日続けた後。彼はその「ピュッピューン、ピュッピューン」が聞こえるや否やFurboの前に陣取るほど「合図音=おやつ」を理解するようになった!こうなれば、別に私が側にいなくても大丈夫。

アプリに映し出された「独りラッコ」の様子。おやつ合図音が出ると、寝床からでてきてFurboの前に陣取った。

とはいってもやはりいきなり出かけはしない。二階に行って(Furboは一階の台所においてある)、スマホアプリのおやつマークをポチ、おやつが出ますよ〜という音を鳴らした。するとそれまで私の足元にいたラッコは台所からの音を聞いて勢いよく下階に走っていった!その後私は何回かおやつを飛ばしながら徐々に独りでFurboと遊ぶということに彼を慣れさせた。

さて、ここまでできたら今度は実際に外に出る、ということを試みる。私が出て行くといつものごとく「え〜、行っちゃうの?」と玄関の窓から残念そうに見送った彼だが、私もそんなに遠くには行かない。玄関から出たところに続く庭からFurboを作動。合図音が聞こえるとラッコは「音がする!」と台所に走っていったのだ。お〜、すごい効果。練習の甲斐あり!

この様子はそれこそスマホの画像にすべて映し出される。トリーツを出したり、しばらく出さなかったりと、時間にバリエーションを入れながら、「母ちゃんが行ってしまった」ということからとにかく彼の気持ちをそらすことに務めた。もちろんしばらくトリーツがでてこないとまた玄関に戻り私が中に入ってくるのを待つのだが、いつもよりも「行ってしまうのですね」という絶望感が彼に見えないのが大きな前進であった。

私はこのような機械を導入しても、決して3時間以上犬に留守番を強いることはない。犬はなんといっても群動物だ。スウェーデンの動物保護法にも「犬を6時間以上独りにしないこと」と記されている。群れで生きる動物にとって誰かが周りにいる、ということは彼らにとって大事な心の「ニーズ」。それを満たしてあげるのが飼い主の責任というものだ。

このニーズの大事さは科学的にも証明されている。スウェーデン農業科学大学のT. RehnとL.J. Keelingが2011年に留守番する犬のウェルフェアについて研究論文を発表した。実験では犬をさまざまな時間待たせ、時間によって犬はどう過ごしているのか、そして飼い主が帰ってきたときにどのように反応するかを調査した。待たせる時間は30分、2時間、4時間。待っている様子はモニターに記録される。それによると、待っている犬というのはたいてい寝そべっているものであり、それは時間に関係なく皆同じ状態であったということだ。しかし、飼い主が帰ってきたときに、待っている時間によって犬の反応に違いが出た。つまり長い時間待たされた犬ほど強烈に飼い主に挨拶を行い、それはたった2時間待たされた場合でもそのようなふるまいを見せたそうだ。

と考えると、やはり犬としては飼い主とできるかぎり長くいる方が幸せである、と結論できそうだ。そして安心そうに寝そべっているからといってそれは決して犬の心の穏やかさを表しているものではない。これは飼い主としてよく覚えておかなければならないことだろう。

ラッコが十分Furboに慣れてきたところで、今度はFurboに内臓してあるスピーカーを使って彼に話しかけ、頭の体操をしてもらうことにした。つまり私は「スワレ」などの合図を出すのだが、それに応じた行動を見せてくれたら、ご褒美に「おやつ」ボタンを押す。ボタンを押したときの「ピュッピューン、ピュッピューン」という音はいわばクリッカーの音代わりともなる。

実は一番最初にFurboを使い始めた時、ラッコは私のスピーカー越しの声がわからなかった。しかし、一旦Furboの機能を理解して機械に集中するようになると、スピーカーからの音が私の声なんだと悟った。そして合図通りに動きはじめてくれた。

こんな風にしてFurboとの遊び方を十分トレーニングしてから私は実際に彼に留守番を頼んだ。もちろんラッコはそれを嬉しいことだとは思ってはいないが、Furboで少しは気が紛れているはずだ。私を待ってずっと寝ている彼にとっては、たとえ「スワレ」「フセ」というような合図でも脳を動かさなければならず、それは刺激にはなっている。以下の動画は「遠隔コマンド」を理解するラッコの様子。スピーカーから流れる私の声はなぜか動画では聞こえないので字幕を参照に!

前述したようにどんなにテクノロジーが進んでも、犬にとっての人の温もりは機械で代替できるものではない。なので留守番の時間はどんなに長くとも6時間を限度にされたい。その間にちょっとしたエンターテイメントを愛犬に与えることができるという意味でFurboはすごく重宝する。それに遠くにいながら犬にトリーツを与えられるというのは、飼い主にとってすごく楽しいことでもある。

実際に使ってみていくつか気が付いたことがあったので、アドバイスを!

  • Furbo本体におよそ2dlのドライフードを入れることができるようになっているのだが、そのときにいろんな種類のフードを入れてあげよう。いつも同じフードばかりがでてきては犬にとっても面白くない。いろいろなフードがでることによって「お、これはさっきと味が違う!」という一つの「刺激」を脳に与えることができる。それだけでも犬をすこ〜し幸せにしてあげれるはずだ。刺激は犬のウェルフェアにとって大事なもの!
  • それからたくさん食べることもあるので、必ず水もたくさん用意して留守にすることだ。

製品についての詳細情報はこちらをご覧ください。

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【参考文献】

ScienceDirect