ダックスの椎間板ヘルニア~不妊化手術と病気発症リスクとの関係

文:尾形聡子

[photo by sovraskin]

強い痛みを伴う病気、椎間板ヘルニア。ヘルニアの起こる場所によっては麻痺症状があらわれることもあり、運動失調をおこしたり排尿のコントロールができなくなることもあります。また、手術を受けても回復することができず、安楽死の選択をせざるを得ない場合もあります。椎間板ヘルニアは犬だけでなく飼い主にとっても、生活の質(QOL)に大きく影響を及ぼす可能性の高い病気のひとつといえるでしょう。

椎間板ヘルニアは加齢が原因となることもあるため、どんな犬でも発症する可能性がありますが、ダックスフンドやウェルシュ・コーギーなど胴長短足の犬種がかかりやすい病気として知られています。遺伝的な背景としては、細胞の増殖や分化に関与する線維芽細胞成長因子のひとつ、FGF4(Fibroblast growth factors)という遺伝子のレトロ遺伝子が原因となり、短足となる軟骨異形成(Chondrodystrophy)を引き起こすばかりでなく、椎間板疾患発症にも強い関連性があることが報告されています(詳しくは『短足と椎間板疾患に共通する遺伝的背景が明らかに』を参照ください)。

とはいえ発症原因は100%遺伝によるわけでもありません。現在は遺伝的要因と環境要因が影響する多因子性の病気と考えられています。運動や食餌などの環境要因の違いがどの程度発症リスクを軽減させるのかについてはまだほとんど分かっていませんが、遺伝以外の要因として、たとえば太り過ぎていることは少なからず腰に負担をかけることになり、物理的にも発症リスクを高めると考えられています。

では、環境要因のひとつである犬の不妊化状態は発症のリスク要因となるものなのでしょうか。とりわけ椎間板ヘルニアの発症が多い犬種

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