愛犬のウォーターボウルに潜む危険

文:尾形聡子

[photo by Michael Coghlan]

犬と暮らす上で欠かせないもののひとつ、ウォーターボウル。みなさんはどのような素材のウォーターボウルを使っていますか?

2018年8月にクロアチアで開催された学会『69th Annual Meeting of the European Federation of Animal Science』にて発表された研究によれば、ウォーターボウルには犬や人の健康を脅かす細菌が発生する可能性があり、素材によって細菌の発生しやすさが異なるという結果が示されたそうです。

研究発表を行ったイギリスのハートピュリー大学の研究者らは、犬用のウォーターボウル素材と洗う頻度により細菌の発生が違ってくるのか?という点に着目し、ステンレス鋼製、セラミック製、プラスチック製の3種類のウォーターボウルで比較研究を行いました。その結果、健康に有害な細菌類はステンレス鋼製のものより、セラミック製やプラスチック製に発生する可能性が高いことがわかったそうです。

どの素材のウォーターボウルでも使用期間が長くなればなるほど細菌は繁殖していき、最も多かったのがプラスチック製のボウルでした。また、大腸菌やサルモネラ菌、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)といった有害な細菌はセラミック製のボウルで最も多くみられたそうです。

犬のウォーターボウルは家庭内で3番目に汚染されやすいものであることがこれまでの研究により示されていること、さらに今回の結果から、犬と人との関係が密接になっている現在、ウォーターボウルを通じて犬から人への細菌感染が懸念されると研究者らはいっています。どのような洗浄方法が細菌の発生を防ぐのに効果的であるかを知るにはさらなる研究が必要ではあるけれども、定期的にしっかりとウォーターボウルを洗浄することは欠かせないとしています。

プラスチックやセラミック製のウォーターボウルは、私たちの目に見えない細かな傷がつきやすく、そのようなわずかな窪みが細菌の温床になりやすいと考えられます。しかし、ステンレス鋼のボウルだからといって洗浄しないままでいれば、細菌はいとも簡単に増殖していくでしょう。また、いずれの素材でも長期にわたっての使用により細かな傷が増え、細菌が増殖しやすいことを考えると、ある程度のところで買い替えを検討する必要が出てくるとも思います。

あっという間に水質が悪化してしまう夏場は過ぎましたが、愛犬のための飲み水は常にきれいな状態にしておきたいものです。犬にも人にも危険な細菌が発生するウォーターボウルとならないよう、季節を問わずなるべくこまめに水を交換し、交換するたびにしっかり洗う習慣をつけたいですね。

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【参考サイト】

Hartpury University news