文と写真:尾形聡子
犬曰くでは、インターネットを使ってのブログ発信だけでなく、かねてから読者の方と直接コミュニケーションをはかれる場を作りたいと考えていました。そこで、話し手からの一方通行になりがちな一般的なセミナーでは経験できない、参加型のセミナー『犬々学々セミナー「犬曰く、我曰く」』を定期的に開催することを決め、記念すべき第1回を6月15日、東京・根津にて開催いたしました。
参加型というこれまでにないタイプのセミナースタイルで、かつ、初の開催だったため、初回は藤田りか子・尾形聡子が日頃お世話になっている近しい方に限定して声をかけさせていただき、総勢15名の方にお集まりいただきました。
参加された方の顔触れは実にバラエティ豊か。獣医師さん、ドッグ・トレーナーさん、ブリーダーさん、ペットホテルの運営など犬とかかわる仕事をされている方もいれば畜産業をされている方や人の看護師さん、愛犬と一緒にドッグ・トレーニングに精を出している方、犬と共に狩猟をされている方、今は犬と暮らしていないけれど次の犬を迎えるためにさまざまな勉強会に参加されている方、そして北ははるばる北海道から西は高知県の方々にまでお越しいただきました。
当日のお題は『安楽死と犬への倫理』。藤田りか子さんの『「愛犬の苦痛」と「愛犬の安楽死」』への反響が大きかったこと、日常的にオープンに話をするにはタブー視されがちな内容であることなどから、あえて選択してみたものです。
果たして安楽死は是なのか非なのか?どこまでが個人の価値観になるのか、どこからがウェルフェアの問題としてとらえられるのか?・・・そこに正解を求めるのではなく、自ら話しをし、ほかの人の意見を聞くことで、自分ならではの意見をよりクリアに、より深めて帰れるような場となることが我々の目指すところでもありました。
「もう一度元気になる姿を見たいというのは人間側の考え。治療をしても苦しみ続けて生きさせてしまったことを後悔している」
「どういう判断をするにせよ結局人は自分の都合で生きている。だからこそ自分の判断が大事で、それは人に強要するものではないと思う。これまでの経験上、犬は死の概念を持っていないと感じているから、あくまでも飼い主が判断するしかない」
「動物への医療は、人の医療への考え方の影響を大いに受けていると思う。さらには法律、そして社会の影響も受けている。もれなく安楽死についてもそのように感じている」
「犬は今を大事にして生きている動物。今の時点で治療が必要ならばとことん治療をすることもひとつの選択肢」
ここに紹介したのは参加者の皆さんの言葉のほんの一部。別の形でセミナー内容をより詳しく紹介できる機会を作れればと考えています。こちらで準備した資料にはほんのわずかしか触れることができないほど、皆さんには経験談、そして見解を大いに語っていただくことができました。
日常的に一つのテーマについてじっくり話し合う機会はなかなかないですし、それを知り合いではない人と話すという機会はより限られてしまうものでしょう。そのような意味でも、真剣に相手の話に耳を傾け、自分の想いをほかの人に伝えるという場が設けられたことは大成功でしたし、犬のことを真剣に考える皆さんをつなぐ場を作れたことを嬉しく思っています。また、ライターから皆さんへブログを発信するだけではなく、直接意見を交換できたという経験は、今後のブログの執筆においても大いに役立てていくことのできる収穫ともなりました。
次回の『犬曰く、我曰くセミナー』開催は暑さも少し和らいでくる頃になりそうです。これからも、みなさんとダイレクトに意見を交わせる場を引き続き作っていきたいと思っています!