文と写真:アルシャー京子
このところ犬仲間で「犬のにおい」について幾度か話題に上がることがあった。犬のにおいは、犬と暮らしているものにとってはけっこう慣れ親しんでいるが、犬と暮らしていないものにとってはけっして心地よいものではない部類の代物だ。
犬の被毛から漂うにおいの元は犬の皮脂で、犬は猫よりも皮脂分泌が多く、においも犬の方が猫より強いのが普通だ。皮膚から出される脂に皮膚からの排泄物や細菌が混じり、独特のにおいが作られる。においは犬種によっても差があり、水場での獲物回収を課題として作られたラブラドールや、シェパード、ビーグルといった全天候型の使役犬種は皮脂分泌の多い犬種であり、サイトハウンドのように乾燥した地域が原産の皮脂分泌の少ない犬種よりも基本的ににおいは強い。
においの強さだけでなく、犬種毎にもにおいの種類が異なるのが、犬好きにとっては興味深く、例えばボクサーにはボクサー特有の鼻に甘く絡むにおい、ラブラドールにはボクサーとは異なるほんわかとしたラブラドール臭がある。
もっと厳密に言うなら、同じ犬種でも犬が違えばにおいは若干異なる。うちの犬は普段ほぼ無臭に近いが、特に水に濡れるとそのにおいは顕著になり、どちらかというと人によっては苦手かもしれないガチョウのような家禽系のにおいがする。