文と写真:藤田りか子
すでに10年以上も前になる古い話なのだが、イギリスの科学者ルパート・シェルドレーク氏が「飼い主の帰りを予知する犬の能力」というものを提唱し、随分話題になったことがある。犬の中には飼い主が時間帯をどんなに変えて帰ろうと、必ず帰りを予知して飼い主を出迎えるすごい能力の持ち主がいるのだ。
シェルドレーク氏は、犬の予知する能力というのは、もしやテレパシーによるものではないか?とそんな大胆な説を立てたのだが、さて、あなたはどう解釈するか。私は個人的な感情として、アニマル・コミュニケーターの言い分を信じるのにやや難しさを感じる者だし、当然犬のサイキック能力とくれば論外であった。これ聞いた時にどう反応したらいいか迷ったものだ。おまけに彼は一部の科学者からは「似非(えせ)サイエンティスト」(注1)とまで呼ばれている。
しかし頭から「非科学的!」と決め付けて、真実を探求しないのはよくない。犬好きの我々にとって大事なことは、理由は何であろう犬の見せる面白い現象に気が付くことではないだろうか?というわけで、テレパシー云々よりも、ここではシェルドレークの考察や彼の観察した犬の面白い現象についていくつかあげてみたい。