テリアに相当する犬は世界のどこにでもいるものだ。ドイツであれば、シュナウザー。日本の柴だって、ねずみ捕りとして活躍していた。はるか北欧にも、やはりその地方独特のテリア・バージョンなるものがいて、それがこの犬種、デニッシュ・スウィディッシュ・ファームドッグである。一見ジャック・ラッセルのようで、さもありなんという感じ。ただし、犬学的にはピンシャータイプに属する。すなわちイギリス出身ではない農場犬。そこでFCIの分類では第2グループに含まれている。
その分布地は、デンマークの北側から海をはさんで、スウェーデンの南部まで。今のところ、この地方以外ではめったにみることがない地域限定型の犬種であるが、そんな犬がスウェーデンにて10年前ぐらいからとても人気になっているのは面白い。愛玩犬としてだけではなく、狩猟家の間でも、ずいぶん前から知られていた。アナグマ狩犬として使われていたほどで、機能としてはまさにテリアそのもの。
デニッシュ・スウィディッシュ・ファーム・ドッグは北欧のドッグショーでも人気!
何事につけてもイタチのごとくすばしっこく、テンションは高め。ただしそれでもジャック・ラッセルの気質よりまろやか。あの爆発的な激しさがないゆえに万人に好まれるし、万人の愛犬となりやすい。それが人気の秘密だろう。こちらでよく聞くのは
「犬飼いの初心者でどうしてもジャック・ラッセル・テリアが欲しいのなら、まずは、その代わりとして飼いやすいデニッシュ・スウィディッシュ・ファームドッグではじめてみたら?」
というアドバイス。
一緒にいて楽しい犬だ。エネルギー一杯で、常に何かをしたいという遊び心に溢れているが、しかし何か特別な作業をさせる必要もない。子供とボール遊びに興じる機会があれば、それはそれでもう大喜び。こんなに小さくてもサイクリングに連れてゆくのもOK。ぴょんぴょん飛んだり跳ねたりするのは彼らのお得意技。ドッグダンスやアジリティがぴったりの運動となるのは言うまでない。もっともこの点ではジャックラッセルと同様、室内のケージやソファに寝転ばせておくだけの犬にはならないのであるが。