文:尾形聡子

[photo by zigomo86]
フレンチ・ブルドッグの人気は、いまや世界的な広がりを見せています。けれども、急激に人気が高まる犬種には、健全性の低下というリスクがつきものです。さらに短頭種特有の骨格的特徴により、呼吸や皮膚などに関わる疾患が起こりやすいことも知られています。そのため、フレンチ・ブルドッグの福祉を守るための取り組みが各国で進められています。
たとえば北欧では、他犬種との掛け合わせ(クロスブリーディング)によって犬種の健全性を取り戻そうとする試みも行われています(詳しくは藤田りか子さんの「北欧発、キャバリアとフレンチ・ブルドッグを別犬種と掛け合わす、犬種改良への新たな道」を参照)。そうした「ある意味、苦渋の決断」ともいえる取り組みの前には、必ず綿密なデータ収集と科学的な検証が行われています。
そのひとつが疫学調査です。特定の集団を対象に、病気の頻度や関連要因を統計的に明らかにするもので、犬種の健康状態を客観的に把握する基盤となります。以前、イギリスで行われたフレンチ・ブルドッグの疫学調査を紹介しましたが、今回はドイツで行われた最新の調査結果を取り上げたいと

