文:藤田りか子
[Photo by Rikako Fujita]
卵。どこにでもある食材でありながら、「完全栄養食」とか「最強完全食」などと称されるスーパーフードである。なにしろ「ひよこ」という命を育むための材料が殻の中にぎゅっと凝縮されているのだ。犬飯のアイテムとしても最強であるのはいうまでもない。ペットの栄養学に携わっている方ならその価値をご存知のはず。栄養価の高さはもちろん、体のさまざまな働きをサポートする機能性食品としても注目されている。
昨年(2024年)、フィンランドからペット食における卵の役割を総合的に整理したレビュー論文が発表された。最近の犬たちは、都市化の進行によって運動量が減り、肥満や代謝異常、ホルモンバランスの乱れが目立つようになっている。さらに、腸内環境の不調に伴う消化器の弱さも指摘されている。フィンランドの研究はこうした背景をふまえ、犬の栄養源としての卵の価値を改めて見直そうとしたものだ。この記事では、そのレビューから得られた興味深い卵知識のいくつかを紹介したい。
生卵よりゆで卵!
[Photo by Alexander Grey]
私ごとだが、我が家ではBARFメソッドで犬に生食を与えている。そのため週に1〜2度ぐらいで生卵も食材として加えていた。ちなみに、「卵白は生で与えてはいけない」といっとき言われていたものだ。というのも