文と写真:アルシャー京子
犬の社会性養育の第一歩、散歩。なによりも同類に出会い学ぶものは大きい。
土足で暮らし、机と椅子の暮らしをしてきたヨーロッパでは、昔は小型犬でない限り飼い犬は家の外で暮らすのが普通だった。大きな犬なら家の中へは滅多に入れてもらえず、戸外の敷地の境界線は不明確で暇になればそのまま周辺をぶらつくのがあたりまえだった。
都市化が進み集合住宅での生活が普通となった今、大きさにかかわらず犬たちは家の中で飼われるようになり、一日の大半を室内で過ごし飼い主の傍に居ることが多くなった。その影響で飼い主と犬との関係は次第に濃いものに変わり、お互いへの依存心が増した。
例え普段室内で犬と暮らしていても庭があるとそこに犬を出してしまえば手近に用を足させることができる。排泄さえすんでしまえばあとは余裕、犬が遊びたそうにしているときには庭に出しておけば良いし、外に散歩に行くか行かないかは飼い主の気分次第。しかしこれは外飼いに限らず室内飼いでも同じことがいえるのだ。
日に数回なにがなんでも散歩に出なければならない状況にある私にしてみると、庭のある家庭や日本のように犬に室内で排泄させるのならば飼い主にとってさぞ快適だろうと思う。しかし手近なトイレが普及しすぎて外出回数が減り、犬の社会性へ大きく影響するということがないがしろにされているような気がしてならない。