文:北條美紀
[Photo by Happy monkey]
今や、カワイイという言葉は、kawaiiというれっきとした日本発の単語として世界中に知られている。これまでにも、カワイイという言葉に対する私の個人的な違和感や、カワイイという言葉の持つ魔力ついていくつかの記事を書いた。「カワイイとかわいそう~憐みの気持ちと上から目線 メサイア・コンプレックスとは」や「『短頭種のいびきってカワイイよね!』って思考停止してやいないか?」などがそれだ。
その後も懲りずに考え続けていたところ、アメリカの文化理論学者で文芸評論家、フェミニスト学者のシアンヌ・ンガイSianne Ngaiの『Our Aesthetic Categories』(2012)にいき当たった。Ngaiは、「おかしなZany」「かわいいCute」「面白いInteresting」という感情と資本主義の関係について考察しているのだが、Ngaiの定義するCuteはkawaiiとほぼ同義で、日本の犬文化を念頭に読んでみるととても興味深いのだ。ということで、またまた「カワイイ」と犬について考えてみようと思う。
カワイイという感情の正体
カワイイkawaiiの意味するところは非常に多様だが、