文:尾形聡子
[photo by Татьяна Креминская]
犬の優れた嗅覚についての人々の探究は、古くは19世紀から行われていました。当然のことながら、私たち人間は犬のようににおいを感じることができません。そこで研究者らは解剖学や組織学、画像技術などさまざまな方法を駆使して犬の脳を研究し、これまでに重要な発見が積み重ねられてきています。たとえば1883年、受容体の概念を提唱したことで知られるイギリスの生理学者J. N. Langley は犬の脳の縦断面を詳細に調べて犬の高度な嗅覚能力を理解する上で極めて重要な知見を得て、「犬の脳の構造(The Structure of the Dog’s Brain)」という論文を出しています。
数百年にわたって続けられている犬の嗅覚についての研究が、ついに大きく実を結ぶときが訪れるかもしれません。そんな画期的な研究がイスラエルのバル=イラン大学の研究者らにより発表されました。