犬の感情を読み違えてしまうのはなぜ?二つの大きな原因

文:尾形聡子


[photo by Guitafotostudio]

犬をよく理解するには犬という動物についてのさまざまな知識が役立ちます。ですがそれだけでなく、犬とより深いつながりを感じるには、非言語コミュニケーションにおいてお互いの感情を理解し合うことが重要です。犬の感情ははたして人と同じものなのでしょうか。

感情を知覚するのは複雑なこと

相手(人間)の感情をどのように認識するかについては、年齢、性別、経験、文化的背景などさまざまな要因が影響を及ぼすため必ずしも一致するわけではないことがわかっています。それは人が犬に対して感じる感情を評価する際も同様で、たとえば犬を家族の一員として扱う文化で育ったか、あるいはそうではないかによって、犬の感情を認識する能力にちがいがあることが示されています(このことについては藤田りか子さんの「日本人は犬の「辛い表情」を理解できない?」を参照ください)。

そして人が人の感情を読むときに顔の表情に注目するように、犬に対しても顔の表情を読もうとするものです。犬の顔の表情においては顔の動きを詳細に分類し、それぞれに対応する感情は何であるかをつぶさに解析した「DogFACS」が提供されるなど、研究が進められていますが、実際の生活環境の中で犬の表情を読み間違えることは決して少なくないでしょう。とくに子どもは大人に比べて読み間違えをすることが多く、それが咬傷事故につながる可能性を高めていることもわかっています。

そもそも人と犬は相手の感情状態を認識するときに視線を向ける先が異なり、人が顔の表情に敏感である一方で、犬は人の

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