文:尾形聡子
[photo by Chalabala]
安楽死について、日本では犬に限らず全般的にその話題を避ける、あるいはなるべくひっそりと話すような傾向にあります。その背景には日本に根付く「死」に対する価値観、宗教観的なものがあるのかもしれません。動物の管理の仕方やそのベースとなる法律については各国で違いがあるのはある意味当たり前なことですが、藤田りか子さんの記事を読むたび北欧を中心としたヨーロッパでの社会的な倫理観と日本のそれとは異なると感じています。
犬曰くでは、犬だけでなく家畜、野生動物も含めて動物への倫理について理解を深めることがとても大切だと常々考えています。さまざまな生活ニッチの動物の命、いわゆる「アニマル・ウェルフェア」について広く考えることは、ひいては家族の一員である愛犬のウェルフェアの向上にもつながるからです。最近では、スウェーデンのストックホルム大学で社会疫学・公衆衛生学の研究を続けている金森万里子さんによる「動物のウェルフェアはペットだけのものではない?〜狩猟における動物福祉を考える」の記事が記憶に新しいところです。
日本での状況といえば、10年ほど前くらいでしょうか、殺処分ゼロのスローガンが政治の世界にも登場し、