文:藤田りか子
[Photo by Konrad Dobosz]
仕事だから、と犬を1日中家に置いてきぼりにする飼い主を見るにつけ、
「こうなるとわかっていたでしょう?どうして犬を飼ったの?」
とついなじりたくなってしまう。そもそも日本の動物愛護法がこの点について甘いのだ。よって庶民の間における社会的ノームも存在せず、独りぼっちにすることについて咎めようとする人もあまりいない。私がスウェーデンに住んでいるから尚更そう感じるのだろう。
この国の動物保護法下にある「犬及び猫の飼養に関するスウェーデン農業庁令及び一般的助言」には、犬猫のニーズをどう満たさなければならないかが詳しく記されている。この庁令規則にある条件を満たそうとすれば、日本で行われているペットショップでの生体販売、大規模繁殖場の運営は言うまでもなく、「お家に長時間犬を置いてきぼり」もNGとみなされる。
日本に比べるとはるかにウェルフェアの観点が整った法ではあるが、スウェーデン農業庁(Jordbruksverket)は、それで満足することはなく、2017年には犬と猫に関する規則の見直しを行なった。その目的は最新の知見に基づいて規則を適応させること、動物飼育者の責任を強化し、規則の遵守を容易にすること。見直しのためのエビデンス収集とその考察を行なったのは、スウェーデン農業科学大学のアニマルウェルフェア科学評議会だ。評議会では以下のウェルフェア3項目について調査を行なった。
①犬猫の運動のニーズ
②犬猫の社会的接触のニーズ
③ 離乳に関するウェルフェア
犬曰くではすでに①の「犬の運動のニーズ」に関するレポートを要約して記事を公開している。今回は「②犬猫社会的接触のニーズ」について紹介したい。
犬のニーズ、社会的接触
「社会的接触のニーズ」については現行