文:尾形聡子
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今年ChatGPTが登場してからとういうもの、生成AI(ジェネレーティブAI:Generative AI)を使ったサービスをそこここで見かけるようになりました。生成AIは従来のAI(人工知能:Artificial Intelligence)とは異なり、テキスト生成や画像生成、動画生成、音声生成などゼロからオリジナルのものを作り上げることができるのが特徴で、ますます便利な世の中になったものだと感じます。
なにかを作り出すという特徴は持たないものの、従来のAI技術は私たちの日常生活のあちこちに浸透し利用されています。自動翻訳やお掃除ロボット、顔認証、スマートウォッチ、スマートスピーカーなどあげればキリがないほどです。それだけでなく、農業や製造業、物流などさまざまな分野でも応用されていますが、中でも早くから活用されている分野のひとつが医療です。たとえば画像診断では病気の見逃しの発見や早期発見、誤診を防ぐことに役立てられています。AIによる診断は視覚的なものだけでなく、デジタル聴診器が登場したことで心臓音や呼吸音など聴覚的なものに対しても可能になりました。
人の医療分野での診断や解析においてはAI技術が積極的に導入されるようになっているものの、獣医療においてはまだ十分な研究が行われていないのが現状です。そこでイスラエルのハイファ大学の研究者らは、獣医療において、短頭種が発症しやすい気道閉塞症候群(BOAS:brachycephalic obstructive airway syndrome)の診断に活用できないかと考え、デジタル聴診器とAIの機械学習(Machine Learning:データから学習をして特徴をつかんで法則化し