あなたの犬、しらけていませんか?その理由は… 科学的エビデンスから探る その1

文:藤田りか子


[Photo by Pixel-Shot]

どんなにこちらが盛り上げようとも、一向に興ぜず常に「しら〜」としている人がいるものだ。なぜにしてそんなに冷めているのか?ただし人だけじゃなく、犬にもそんなタイプが見られると友人は語ってくれた。

「そう、私が通っているしつけ教室に来ているWさんの愛犬、レオ君なのよ」

Wさんはコースの参加も欠かしたことがない熱心な人だという。

「その割に、犬の方がとてもしらけているんです。トレーニング中もなんだかすごく面倒くさそうだし、繰り返しやるとすぐに飽きるし。最近では教室にきたとたんにすぐ帰りたそうにするんです」

好奇心があまりなさそうな犬である。

「Wさんはトレーニング中、ずっと犬にレオ君、レオ君、レオ君って呼びかけ、いい子いい子と、やたらなでなでする。ちょっとしたことで「だいじょーぶ、だいじょーぶ!」と犬を慰めようとします。つまり愛情はたっぷり注いでいるみたいなんですけど…。これってどういうことなんでしょうね?」

ちなみにレオ君は夜は指定された犬ベッドで寝ることになっているそうだ。そう、Wさんはこうしてしつけ教室にもくるし日常の管理もきちんと行っている感じだ。まさに良き飼い主のお手本のよう。けれど友人によると、最近レオ君のみならずそういうしらけたタイプの犬を教室でよくみかけるとのことだ。

犬がしらけているのは犬だけの問題ではないのかもしれない。この会話が交わされしばらくたった後「熱心な飼い主としらけた犬の謎」の解明をする手がかりとなりそうな研究に偶然でくわした。論文のタイトルを邦訳すると

「飼い主の養育スタイルから、犬の社会性行動および問題解決能力を予想できるか?」

なるほど。養育スタイル。小さなお子さんがいる方なら馴染みのある言葉かもしれない。犬だって人の子供同様、親の育てられ方によって自立性や自制心、社会性、好奇心についてさまざまな影響を受けるはずだ。そして「しらけてしまう犬」を作る「養育スタイル」と思わしきものがまさにこの論文の中にでていたのである。

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