スウェーデンのドッグ・インストラクター教育事情

文と写真:藤田りか子


ベストセラー本「「犬と遊ぶ」レッスンテクニック」の著者、日本でも有名なイェシカ・オーベリーさん。現在は警察犬や軍事犬のハンドラーを教育する。スウェーデンワーキングドッグクラブの教育を受けた公認インストラクターでもある。

ケネルクラブの基本原則に則るインストラクター

スウェーデンでは非営利組織であるスウェーデンケネルクラブが犬の飼い主にとっての「政府」のような役割を果たしている。あちこちに団体があるわけではないので、この点で会員同士は非常に連結をしているともいえるだろう。それはクラブの信念に多くの人が同意を示しているということでもある。犬の血統登録から、飼い主教育、ブリーディング、犬種の健全性の促進および犬の疾病研究の援助など、犬にまつわるありとあらゆる部門においての中心的な存在でもあるのだ。

犬のトレーニングや日常のしつけ、そして犬を正しく管理するための知識や技術もやはりケネルクラブの管轄だ。ケネルクラブの傘下にはワーキングドッグクラブがあり、そこではドッグスポーツはもとより、パピー教室、飼い主教育、日常しつけ教室など、犬とつきあうためのノウハウのありとあらゆる面を学ぶことができる。

当然これらの教室のインストラクター教育も、ワーキングドッグクラブが中心となって行っている。ケネルクラブの監視下にあるおかげで、ワーキングドッグクラブのあり方も、ケネルクラブの基本原則に基づいて定められている。さて、これは何を意味するのか?

基本原則には犬と付き合うための、そして犬を扱うための倫理的な守りごとが記されている。その方針にもとづきインストラクターが育成されるというわけだ。ただ技術的なものを持っていればいいというわけではない。そのインストラクターによって育てられるのは私たち飼い主。犬世界全体の底上げになっているのは間違いないことで、犬文化の成熟度が高いゆえんでもあると思うのだ。

インストラクターになる資格 – 誰もがなれるというわけではなく…

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