「犬はにおいでも見ている」の解明に大きく近づく

文:尾形聡子


[Image by Sonia Ugarte from Pixabay]

たとえ目が見えなくても、犬は驚くほど「普通に」生活することが知られています。まるで目が見えているかのように歩いたり、あるいは走ったりする姿を目の当たりにしたことのある方もいることでしょう。犬はにおいの世界の住人であることを理解していても、視覚に頼って生きている私たちからすれば、どうして目が見えないのにそんなふうに動けるの?嗅覚だけでどうにかなるものなの?などと、疑問に感じてしまうものです。

犬の嗅覚の感度が高いことは広く認識されています。においをキャッチする受容体の数は人で500万個ほどのところ、犬は2億から10億個も持っています。受容体がキャッチしたにおいは嗅球と呼ばれるにおいを情報処理する脳の組織へ届けられ、そこでにおい信号が増幅されるのですが、犬は人の30倍もの大きさの嗅球を持つことが知られています。しかし、犬の嗅覚系の構造や嗅球から先の脳の情報ネットワークについては未知の世界でした。

そこで

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