文と写真:藤田りか子
狩猟が盛んなヨーロッパではカントリーフェアなるものが5月から8月にかけてに各国でそして各地で行われる。なぜこの時期?それは、秋の猟期に入る前だから!猟期に入れば、皆、週末は猟で忙しく、フェアに行く暇がない。そして、猟期を前にいろいろな狩猟ツールやウェアを買い揃えておきたい人もいるはずだ。何しろフェアではここぞとばかり多くの狩猟・アウトドアブランドやショップのブースが立ち並ぶ。
筆者が住むここスウェーデンのヴェルムランド地方でも小規模ながらカントリーフェアが先週行われた。スウェーデンには大規模なカントリーフェアも存在するが、地元の狩猟ビジネス、そして狩猟コミュニティをサポートしたいので、こぢんまりとした地方のフェアも訪れる価値は絶対にある。そこここで知り合いに会えるのも楽しい。そして何しろ自宅から近い!
イギリスのカントリーフェアとの大きな違いは、鳥猟がほとんどといってもいいほど強調されてないこと。なんといってもスウェーデンの猟とくれば森の中のヘラジカ猟だ。そして最近では増えて困っている猪。猪猟も急激に盛んになってきた。よってフェアの会場にはイギリスのようにレトリーバーやスパニエルが右往左往していない。日本犬のようなスピッツ犬(ヘラジカ猟の犬)や、ヨーロッパコンチネンタル系の鳥猟と獣猟を同時にこなせる猟犬、あるいは純粋な猪猟の犬種をたくさん見ることができる。そしてこういう人混みでザワザワしているところは、愛犬の環境トレーニングにもぴったり。特にビビりの我が愛犬のミミチャンにはパーフェクトな機会であった。
今回は写真でその様子を紹介しよう。
(上の写真を参照)会場に入るとこのようにお店がたくさん立ち並ぶ。左に見える4輪バギーも人気。1日で10 台を売ったとここのお店の店長さん。獲物を森から運び出すのに重宝する。なにしろ500kgのヘラジカを運搬しなければならないのだ。
スウェーデンはヘラジカ猟の国。これは他のヨーロッパの国にはない北欧諸国だけの特徴だ。写真の犬はノルウェージャン・エルクハウンド。エルクと英語では訳されているが、実はヘラジカのこと。スウェーデン語でヘラジカはÄlg(エリェ)という。ヘラジカ猟クラブがブースを出していた。
会場には犬グッズやドッグトレーニングウェアの販売しているブース、多数!右に見える犬はノルウェーのウサギ猟犬、ハルデンステーバレー。こんな犬種、北欧のゲームフェアでしか見ることはできないだろう。
会場には多くの猟犬が飼い主に連れられていたのだが、その中には子犬、若犬も多数!きっと社会化トレーニングとしてやってきているのに違いない!上の写真はフィニッシュ・スピッツ(右)(ヨーロッパオオライチョウに使われる猟犬)の若犬と、バヴァリアン・マウンテン・セントハウンド(左)(手負いになった獲物を探し見つける専用の猟犬種)。
左の子犬はノルウェージャン・エルクハウンド。右はウサギ狩につかわれるスイス原産のルッツェルン・ハウンド。このハウンドはスウェーデンのウサギ猟をする人々の間では比較的ポピュラーだ。
あちこちに犬、犬、犬。狩猟犬ではない犬が真ん中に見える。犬曰くでお馴染み尾形聡子さんが大好きなスパニッシュ・ウォータードッグ。吠えて困るような犬はほとんどいなかった。みな社会化トレーニングがとてもうまくできていた。
ミミチャンとアシカ。筆者のパートナー、カッレのショップが出しているブースでパッシブトレーニング中!
犬種クラブのブースも立ち並ぶ。上の写真は、ジャックラッセルテリアクラブ・オブ・スウェーデン。もちろんこのクラブに属するジャックたちは狩猟で活躍するために繁殖を受けている犬たち。アナグマ猟での活躍の写真が左に見える。
シュバイスフンドクラブ。シュバイスフンドとはドイツとオーストラリアで生まれたコンセプトで、手負いになった獲物の血痕を追う専用の犬のこと。シュバイスとは出血というドイツの狩猟用語。スウェーデンには手負いにした獲物を必ず仕留めるべき、という法律があるので、これらの犬たちはとても人気だ。
そして最後は、こちら。このフェアで行われていたいくつかの犬ものイベントのうちの一つ、レトリービングコンペにアシカと飛び入り参加。なんと我々優勝をしたのだ!5000円ほどの賞金といくつかの素敵な賞品をもらった!回収するべきものは、水上に浮いている鳥、そして藪に隠されたキジとハト。アシカにとってはお茶の子さいさい!
【関連記事】