文:尾形聡子
[photo by smerikal] 太りやすい遺伝子変異が発見されたラブラドール・レトリーバー。ほかの犬種と比べてみると…?
「わかっているんだけどね、なかなか痩せられないのよ…」
このような状況は先進国に暮らす人々の間でよく耳にすること。肥満の人が増加する各国では近年、人だけでなく犬においても同様の傾向が見られています。
なぜ肥満がよくないのか?それはすでに皆さんもよくご存知のとおり。肥満はさまざまな病気の引き金になる万病の元となるからです。では、なぜ肥満になるのか?それについてもここで改めて言うに及ばないことでしょう。食べ過ぎ・運動不足などから摂取カロリーと代謝カロリーのバランスが悪くなり、過剰なエネルギーが体に蓄積されていくためです。
また、これまでの研究から、犬においても肥満は体の健康を損なうリスクを高める可能性があることや、肥満であることにより関節疾患にかかったり短頭種の呼吸の妨げになったりするために、運動量低下を招いてしまうなど、肥満のループからなかなか抜け出せない状況も起こりうることがわかっています。これもまた、人の場合とまったく同じです。
過去には肥満が寿命を短くすることを示唆した研究もありました(「肥満は家庭犬の寿命を短くする恐れあり」参照)。それによれば、12犬種を対象に調査をしたところ、中年期(6.5〜8.5歳)に太りすぎていた犬は正常体重の犬と比較して最大で2年半寿命が短くなっていたことがわかりました。もっとも肥満の影響を受けて寿命を短くしていたのはオスのヨークシャー・テリアでした。
「遺伝的な太りやすさ」というものが存在していることもわかっています。