文:尾形聡子
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パピーテストという言葉、聞いたことはありますか?成犬になったときの性格や行動を予測するための「素質」を測る行動テストで、盲導犬や警察犬などの作業犬としての適性を効率的に見極めるために使われています。また、作業犬だけでなく一般の家庭犬においても、各家庭に適切な犬を譲渡したり、早い段階で行動上の問題となるような素因を特定するためにも利用されています。
パピーテストと呼ばれるものにはいくつか種類があり、内容は似通っているものの、現時点では世界的に標準化されたテストはありません。ですが、その中でもよく利用されているものにヴォルハードのパピーテスト(Puppy Aptitude Test:PAT)というものがあります。PATは10のテスト項目からなり、まだ学習による経験の影響が少なく、恐怖心が芽生える前の7週齢くらいの子犬に対して行います。ちなみに「ブリーダー宅での生活環境の違いが与える、子犬の気質への影響」で紹介した研究においてもPATが使用されていました。
一方でこれまでに、生後7週齢でのテストは犬の将来的な性格や行動を確実には予測できず、限られたものとなるという研究結果も出ています。そこでは、家庭犬の子犬時代と成犬時代とで相関関係がみられた特性は