ノーズワークを活用、愛犬を「クイズ王」にする方法

文と写真と動画:五十嵐廣幸

GoProを買った。ノーズワークの自主練の様子を動画に収めようというのが目的であった。さらに今ではメルボルン界隈での散歩や海で泳ぐ様子なども撮影してはYouTubeにアップするようにもなった。動画を撮ろうというモチベーションのおかげで、犬との生活にさらなるバリエーションが加わった。

とはいってもノーズワークを動画にしても実はあまり“映え”ない。なにしろターゲット臭という目に見えない正解を探し当てるゲームだからだ。その様子をいくら映像に収めても、スポーツを知らない人にとっては単に犬がにおいを嗅ぎ回っているだけにしか見えない。

それならば!と、愛犬アリーと一緒にこんな動画を作ってみた。

いかがなものだろう、アリーのクイズ王っぷりは?!

種明かし

早速、動画の種明かしといこう。実は正解の「ステキ」と書いてある紙に、ターゲット臭のアニスを染み込ませてあったのだ。つまり、これぞノーズワークのサーチというわけ。クイズ形式にし、答えを探す前にボタンを押すトリック(芸)を入れたことで、まるで犬が問題を理解して答えたように見える。ノーズワークを知らない人が見れば、「え、すごーい!」と多いにウケてくれるはずだ。

ボタンを押すトリックは、アリーの脚の手術をきっかけに教えたものだ。術後、安静にしたままでできることはないかと考え思いついた。私の「問題」という言葉がキュー(合図)となり前足でボタンを押す行動が引き起こされる。

クイズ王になるためのトレーニング

以下に愛犬をクイズ王にする方法を簡単に紹介しよう。

① 犬の前にボタンを置く

② オテを教えるのと同じ要領で、偶然にでも前足でボタンに触れたり、押したりしたらクリッカーやトリーツ(褒美)で正解と伝える。

③ ボタンを押して音を鳴らすことができたら、次はキューを教える。

この動作を教えていた時は、ボタンを押したらすぐにフードを与え褒めていた。しかし今ではボタンを押すぐらいではトリーツは与えない。報酬の基準を引き上げたからだ。

オスワリがすでに出来る犬に対して、座っただけで毎回トリーツを与える人がいる。しかし犬が一つの行動をマスターしたら次はオスワリでもヒールポジションに着いたら報酬を与える、というように、報酬が得られるまでの条件を少しずつ上げていこう。

④ ③までできるようになったら、いよいよノーズワークと組み合わせる。クイズを犬に出し、選択肢を犬に伝える。その後ボタン押しのキューを出し、「ピンポン!」と鳴ったら、すかさず今度はノーズワークのサーチの合図を出す。後ろに置く選択肢のうち(動画を参照)、正解にはあらかじめターゲット臭をつけておくこと。

注:ターゲット臭を探す技はすでにできているのが前提だ。そのトレーニングの詳細はこちらを参考に(↓)。

ノーズワーク・トレーニング(1)最初の一歩!
文と写真と映像 藤田りか子 どうやってにおいを教えたらいいの? どうやってノーズワークを始めたらいいのか。やり方は様々である。アメリカのK9ノーズワー…【続きを読む】

動画をご覧の通り、私はフリスビーをご褒美として使っている。ご褒美は食べ物だけと思い込んでいる人もいるようだが、犬が最高に喜ぶものであればロープやぬいぐるみなどのオモチャも成功の報酬となる。もちろん飼い主が言葉や態度で犬をしっかり褒めてあげることも忘れずに。

犬は、場所が変わるだけで、マテやオスワリといった基本的なコマンドですら戸惑いを見せたり、コマンドそのものを理解できなくなったりすることがあるものだ。ノーズワークに限ったことではない。だから、どのような状況でもコマンドが実行できるようになるために、環境を変えながらのトレーニングをオススメする。そしてそれは、犬が人間社会でストレスなく暮らしていくためにとても大切なことでもある。

皆さんも愛犬とたくさん出かけていろいろチャレンジしてみませんか?

ところで早押しボタンが欲しい人は、こちらから!(↓)

文:五十嵐廣幸(いがらし ひろゆき)
オーストラリア在住ドッグライター。
メルボルンで「散歩をしながらのドッグトレーニング」を開催中。愛犬とSheep Herding ならぬDuck Herding(アヒル囲い)への挑戦を企んでいる。サザンオールスターズの大ファン。
ブログ;南半球 deシープドッグに育てるぞ
youtube;アリーちゃんねる