文:尾形聡子
[photo by Nick Cavanagh]
数か月前、グレート・デーンが乳児を咬んで死亡させてしまったという痛ましい事故が起きました。残念ながらこのような大型犬による咬傷事故は、日本だけでなく世界的にみても後を絶ちません。大事故に至るケースは大型犬によるものがほとんどのため、さも大型犬は狂暴だというような印象を与えてしまいがちですが、決してそうではないことは、読者の皆さんならばよく理解されていることでしょう。
どうして犬が人に対して攻撃的な行動をとるのかについては藤田りか子さんが「赤ちゃんの咬傷事故 – ゴールデンにグレート・デーンは凶暴?」で詳細に考察されているので、そちらをご覧いただくとして、今回は攻撃行動の引き金となりうる強い恐怖についての遺伝研究を紹介したいと思います。
怖がりは環境・遺伝両方が影響している
人と同様に犬も、過度の恐怖や不安を抱くことは精神的な健康問題とされています。怖がりの程度には遺伝要因と後天的な環境要因の両方が関わってきますが、後天的な要因として犬にもっとも大きな影響を与えるものとして知られるのが