文:藤田りか子
アシカというメス犬を迎えたのはオス犬ばかりと何年も暮らした後だ。オス犬とはやっぱり違うと思った気づきの1つが、やたらと人の顔を「ベロベロ舐める」という行為。人によってはこれを良しとしたり禁止としたり。なにが正しいとか間違いというのはない。自分で「ルール」を決めればいいだけだと思うのだけど…。
私の知人のフラットコーテッド・レトリーバーは(たしかメスだった)、それはそれは人を舐めるのが大好きで、飼い主もその行動を愛おしいと思う一方で、あまりのしつこさに辟易していた。しかし、彼女は上手にその行動を利用した。オビディエンスのトレーニングをしている人で、上手に脚足行進をしたりきちんと物品を手渡ししてくれたりした際に、そのご褒美として顔を舐めるのを許可した。
「普段は舐めたらいい顔をしないお母さんなのに、この時ばかりはたくさん舐めさせてくれるしおまけにうれしがってもくれる!」
と犬は大喜び。これがそのフラット・コーテッドレトリーバーにはこの上もなく良いご褒美となったそうだ。
オス犬でもペロペロと人を舐める個体もいるが、特にメス犬に多いのは、おそらく子犬を舐める、という母性の部分からも派生している行為だからだろう。子犬がお腹からでてきたとたん、息ができるよう母犬は狂ったように新生児を舐め回すものだ。と考えると「舐める」とは子孫生存にとってもすごく大事な機能ということになる。
さて、実用のなさそうなところでも犬は人をペロペロと舐めたがるわけだが、それはなぜ?についていくつか