文:尾形聡子
[photo by Mike McBey]
いまや日本では、家庭犬に不妊化手術をするのは珍しいことではなくなっています。不妊化手術は個体数の管理をする上で有効な手段のため、保護犬や殺処分の問題ともからんでよりいっそう身近なものにもなってきたといえるでしょう。さらにアメリカの影響を強く受けた日本では、犬が完全に成長しきらないうちに手術が行われることも多くなりました。しかし発育途中の健康体にメスを入れれば当然ながら何らかのよくない影響が出てきてもおかしくないもので、早期手術を推奨していたアメリカではその影響を後ろ向きに調査し、近年数々の論文を発表しています。
その中には病気発症のリスクを高めているデータが示されているものもあり、そのような研究結果を受けてアメリカンケネルクラブ(AKC)では「不妊化手術をいつするか、またするかしないかを決めるのは軽視すべきではない」とし、個人ベースで飼い主と獣医師が相談して決定すべき重要なことだと発表しました。2016年のことです。このようにAKCが見解を改めたのは、「最近の科学研究において、