文:尾形聡子
[photo by Stuart Richards]
アメリカでは85%、日本では86%もの犬たちに少なくともひとつ以上の問題行動がみられることが今年発表された研究により示されています。問題とされる犬の行動には攻撃性や興奮性、分離不安などいくつかありますが、犬がそのような行動をとる原因はさまざまで、複合的な場合も多いものです。
たとえば飼い主との愛着関係やトレーニング方法、散歩時間など日々の暮らしにおいての犬とのかかわり方やケアの仕方などに問題があることもあれば、生まれ持った遺伝的な気質や幼少期の育てられ方が影響してくることもあります(藤田りか子さんが「ビビリの犬は動物ウェルフェアに関わる問題です」にて、過度に怖がりな性格の犬について詳しく紹介しています)。
さらに、騒音を怖がるという気質や性格の犬が筋骨格系の痛みを抱えている場合、騒音が痛みを助長することでより騒音への恐怖を抱いてしまうことが示された研究もあるなど、犬の健康状態が直接・間接的に問題行動をとる原因になっている場合があることも分かってきています。
以上のように問題行動となる引き金は複数考えられるので、その原因にアプローチするために適切な対応をしなければ、いつまでたっても犬の行動に変化がみられない、という状況に陥ってしまうこともあるかもしれません。となると、問題を抱える犬と暮らす飼い主としては、どんな原因が考えられるのかをひとつでも多く知っておきたいところではないでしょうか。
このたび『Animals』に発表された研究によりますと、「アトピー性皮膚炎による慢性的なかゆみストレス」が