文:藤田りか子
暑い、暑い、蒸し暑い!犬たちもすっかりだれてかわいそう。ならば庭の散水ホースをシュワーッと愛犬にかけて遊びたくなる…。犬はホースから出てくる水を捕まえようと、飛んだり跳ねたりと夢中になって追いかける。見ている私たちにとってもとても楽しいひと時だ。
…と、ちょっと待った!実はこの遊び方、犬にとってときに命取りになるほど危険なことも。ホースから吹き出される水を追いかけては飲むを繰り返すことで、胃捻転が起こりやすくなるというのだ。
胃捻転とは、犬の胃がねじれてしまう現象。激しい痛みを伴い病状は急速に進む。犬は吐こうとしても吐くこともできず、うんちもおならもできなくなってしまう。ガスで拡張した胃が周りの器官を圧迫、さらに血液循環も不全となる。早急に処置を施さないとショック死を起こすことも。胃捻転の詳細については以下のサイトも参考にされたい。
スウェーデンのヴァレンテューナクリニック獣医師イエルケル・シルストレムさんによると、胃捻転が原因で救急で連れてこられる犬が特に夏の間とても多いと言う。理由はまさに散水ホース遊び。食事のあとに激しい運動を与えると胃捻転になりやすい、というのは犬の飼い主であれば一度ならずともどこかで聞いたことがあるかもしれない。しかし、散水ホース遊びまでが胃捻転に繋がりやすい、というのはあまり知られていない。
シルストレムさんは言う。
「ホースから出てくる飛沫を追いかけながら、犬は大量の水を飲み込みます。よって胃が水でパンパンに。その上に追いかける、走る、飛ぶ、という激しい運動が加わります。これが胃捻転に繋がりやすくなるというわけです」
同じことは、水場で「持ってこい遊び」をやりすぎる場合にも言えるそうだ。水を大量に飲み込んだまま、激しく行ったり来たりを繰り返せば、やはり胃が拡張しねじれるリスクは大きくなる。水場に枝やおもちゃを投げて遊ぶ時は、一気に何度も繰り返し行うのではなく、間をおきながら、ゆるりと遊ぶのが適切だろう。夏の楽しい水とのひととき、気をつけて!
【参考文献】
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