野犬出身の保護犬を考える

文と写真:藤田りか子

東欧の野犬の様子。この犬は街の広場に現れるものの、人が手をのばすとさっと立ち退いた。警戒心は強い。

私はすでに成犬となった野犬を保護犬として飼うということに対して疑問を感じている一人だ。賛否両論はあると思うがここに私なりの意見を述べたいと思う。

犬をすべて十把一絡げに同じ「動物」と考えぬよう

家庭犬として人気のある純血犬種には「飼いやすさ」を元にした「選択繁殖」の歴史が背後に控えている。一方その歴史が野犬には欠けている。あるいは最初は選択を受けていたのかもしれないが、交雑していくうちに原始の犬が元々持っていた野性っぽさに戻されてゆく。

そのような犬というのは、新しい環境への適応力も乏しく、人との接触にストレスを感じやすい。要は人との共存を苦手とする。逆に言うとゴールデン・レトリーバーなど人と共存しやすいよう選択繁殖を受けた犬とその歴史に携わったブリーダーに対して、私たちはもう少しありがたみを感じてもいいはずだ。そう、犬というのは人による選択繁殖を受けない限り、本来そんなに飼いやすい動物ではないのかもしれない。特に「安全」「衛生」等がとやかく言われる現代社会においては…。

五十嵐廣幸さんが「センチメンタルと保護犬」で述べられたことと私がここで言わんとしていることは、大いに重複している。現在保護犬を飼おうというトレンドが日本にはあるそうで、確かに心温まる話ではある。がそこに落とし穴がある。

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