文:尾形聡子
[photo by bitslammer]
日本のみならず世界的にも小型犬人気が高まっています。イギリスのケネルクラブ(KC)では近年フレンチ・ブルドッグが登録頭数を急激に伸ばし、2017年には長年不動の人気を誇っているラブラドール・レトリーバーに続いて二番目の登録頭数となりました。その勢いはいまだ衰えず、今年のうちに登録頭数が逆転するのではないかといわれています。
日本でもフレンチ・ブルドッグは安定的な人気を見せています。JKCでの登録頭数は2007年をピークに低下しているものの、2017年は9位とトップ10入りが10年以上続いている状況です。
フレンチ・ブルドッグの人気を危惧する獣医師の長坂佳世さんは、『「犬は自然に走る生き物。怪我することを恐れすぎないで」~獣医師、長坂佳世さんインタビュー(3)』の中で以下のようにお話されていました。
「ダックス、チワワ、トイプードルときて、今はフレンチ・ブルドッグも流行っているみたいです。白いフレブルです。そもそもフレンチ・ブルドッグは脊椎の異常がほとんどの個体で見られるんです。本当にまれに正常な脊椎を持つ犬もいますが。それでも神経症状をあまり出さない不思議な犬種でもあります。また、人気がでたために乱繁殖されているからなのでしょうか、最近リンパ腫が増えているようです。ゴールデンやフラットコーテッドが流行って腫瘍が多かったのと同じような現象ではないかと危惧しています。フレブルに限らずどの犬種においても、乱繁殖が行われると腫瘍が出やすくなるのではないかとも感じています。」
このように、人気犬種は繁殖そのものにも問題があることが多く、病気を抱えた個体が増える可能性は否定できません。そしてそのような状況は日本に限ったことではなく、人気犬種の王座につこうとしているイギリスでのフレンチ・ブルドッグにもさまざまな健康面での脆弱性が見え始めているようです。
最も多かったのは皮膚の病気
王立獣医科大学(Royal Veterinary College)の研究者らは、2013年にVetCompass™データベースに集められた304の動物病院からフレンチ・ブルドッグ2,228頭(データベースの犬全体の0.49%)の健康状態を解析し、その結果を