犬が寝る前にクルリと回るのはなぜ?

文:尾形聡子


[photo by torbakhopper]

みなさんの愛犬は眠る前にクルリと円を描くように回ってから横になることはありませんか?犬によくみられるこの行動、まるで眠りにつくための儀式のようでもありますが、どうして犬はクルリと回ってから横たわろうとするのでしょうか。この謎に迫るため、心理学者のスタンレー・コレン博士が実験をおこない、結果を『Psychology Today』にて紹介しています。

これまでに、犬がクルリと回ってから横になる理由として、

  • 周囲に脅威がないかを確認する、オオカミから受け継がれてきている生き残りのための本能行動が遺伝的に残されているため
  • 横たわろうとしている場所の害虫や害獣を追い払うため
  • 快眠を邪魔する小石や小枝を見つけるため
  • 地面をならして小さな巣を作るため

など、さまざまな説が唱えられています。

とはいえこれらはすべて仮説であり、犬に広くみられるこの行動についての答えを学術的な研究論文から見つけることができなかったコレン博士は、 「小さな巣をつくるため」という説に基づいて自身で実験を行いました。

実験では、広い部屋の角におよそ0.9×1.8メートルのワイヤーでできた長方形の囲いが立てられ、その床部分に置くための2種類がの敷物が準備されました。ひとつは平らにならす必要のない、平たくて織り密度の高いカーペットが敷かれ、もうひとつは緩めに織られたシャギー・カーペットをシワやヨレをそのままにした状態で敷かれました。

飼い主は部屋の片隅にある囲いに犬を入れたあと、同じ部屋の別の場所に行って椅子に座り、本を読んだりコーヒーを飲んだりして15分間過ごしました。その間、テストに参加した62頭の犬(各敷物につき31頭ずつ)が2種類の敷物いずれかの上で横たわるときの行動が観察されました。

その結果、平たい敷物の場合にはおよそ5頭に1頭の割合(19%)で犬が横たわる前に少なくとも完全に一回りしていたか、またはそれ以上多く回っていることが分かりました。一方シャギーのデコボコした敷物の場合では55%と、半数強の犬が完全に一回り以上回ってから横になっていました。平たい敷物と比較すると、デコボコした敷物の上ではおよそ3倍の割合で犬の回る行動がみられたという結果になりました。さらに、何度回る行動を示したかという回数から見ると、デコボコの敷物では19%の犬が2度以上1回転以上していたのに対し、平たい敷物ではそれは1頭にしか見られませんでした。

また、デコボコの敷物では、床を鼻でつついたり敷物を掘るようにしてから回り始める犬も何頭かいたそうですが、平たい敷物の上の犬には一頭もそのような行動が観察されなかったそうです(頭数のデータはなし)。

コリン博士は、犬は柔らかでボコボコとした表面のところで横になるときにはクルクルと回る傾向が高いことが示された実験結果から、それはより快適な仮設の「小さな巣」を作るためだろうことを示唆するとしています。とはいえ、この実験結果だけでは、快適な寝床づくりが犬が横になる前にクルリと回ることの唯一の理由であるとはいえないとも述べています。


[photo by Tom Trelvik]

私が一緒に暮らしている犬たちの行動をあらためて思い浮かべてみると、フローリングにダイレクトに横になるときよりも、フカフカしたところで寝ようとするときのほうがクルリと回る確率が高いと感じます。まさに実験結果と同じ状況です。そしてメスのハナの方がオスのタロウよりも明らかによく回ることから、もしかしたら雌雄差があるかもしれないと思います。さらには犬種差もありそうな気も。

皆さんの愛犬たちはいかがでしょうか?

(本記事はdog actuallyにて2016年2月10日に初出したものを一部修正して公開しています)

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【参考サイト】

Psychology Today