ビタミンと犬 (3)

文と写真:アルシャー京子

天然酵母は自然素材のサプリ。ビタミンB群を効率よく摂るための強い味方。

ビタミンB群の話

ビタミンB群と聞いて酵母を思い出したあなた。いけてます!

「疲れたときにはビタミンB群を摂るとよい」これは犬にもいえるのだ。

「チアミン(=B1)」や「リボフラビン(=B2)」「ナイアシン(=B3)」など別名が多いことで混乱しがちなビタミンB群、これらの多くは体内のアミノ酸合成や神経活動に関与している。

B群をたくさん含む食材としてはたしかに酵母がトップなのだが、酵母はもちろん多く食べれるものではないのでせいぜい酵母を使った錠剤サプリとして摂るのが現実的なとこだろう。一錠あたりに含まれるB群の量が出来るだけ少ないものの方が犬の体重にあわせやすい。

代わりの食材を上げるとすると、ほうれん草やブロッコリー、発酵食品などいずれも食べる量が限られるものばかり、そしてレバー...今回もまたレバーの話に舞い戻る。こうなったらせっかくなのでここで「どうしてレバーがいいのか?」トドメを刺しておこうと思う。

腸内細菌とB12と貧血とレバー

ビタミンB群の中で唯一違った特徴を持つのはB12。別名「コバラミン」と呼ばれるこのビタミンは細菌類からのみ作られ、緑黄色野菜や酵母には含まれない。つまりいくら野菜や酵母を摂ってもこのビタミンB12だけは摂ることが出来ないのである。

ヒトや犬でも腸内細菌によりビタミンB12は作り出されるものの体が吸収するには至らず、こればかりはもっぱら外部から摂取することに頼るしかない。しかしこれが草食動物になると反芻胃や盲腸などに共生している微生物類によりB12は作り出され、そして体に吸収される。犬やヒトはそれを食べて体を保つということになる。全く自然は良く出来ている。

赤血球の芯になるのが鉄分、それを包む袋を作るのがビタミンB12。どちらが欠けても赤血球は出来ない。

赤血球を作るのに必須のこの物質、これが不足すると悪性貧血とよばれる貧血になる。また水溶性ビタミンとしては例外的に体の中に蓄積される性質を持ち、そして蓄積される先は肝臓である。

だからレバーを食べる意味合いが出てくる。

「貧血ならばレバーを食え」と昔から言われた理由がここにあった。レバーには造血に必須の鉄分とビタミンB12が含まれるから、貧血の種類が鉄欠乏性だろうが悪性だろうが、とにかく解決されるのである。そしてビタミンB12がちゃんと仕事をこなすにはまた葉酸の存在も欠かせないのだが、ありがたいことにこの葉酸もちゃんとレバーには飛びぬけて多く含まれているので、これはこれでめでたしということになる。

レバー以外の食材では赤身肉や卵・乳にも少量のB12は含まれるが、レバーとは比較にならないくらい少ない。まあ赤身肉はレバーよりも食べる量が多いのがせめてもの救いだろう。塵も積もればナントカだが、それでもまだまだ犬の体には足りないのである。もっとも肝臓にある程度蓄積されているならすぐに欠乏症になることはないので、ここでは極度に脅すようなことはしないつもりだ。

もしも「レバー食べているのに貧血」という場合は長期にわたりビタミンB12の吸収が阻害されている可能性があるので、今一度更なる検査をしてもらった方がいい。

最後にちょっと話が反れるが、ビタミンB1の不足は犬の食糞行動に繋がるという。心当たりのある方、少し気をつけてみて欲しい。

(本記事はdog actuallyにて2009年2月24日に初出したものをそのまま公開しています)

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