文:北條美紀
[Photo by Sheila Sund]
犬の分離不安症が増えているらしい。これには、「分離不安症」という診断名がつくられたことが、大きな要因の一つとしてあるだろう。ちなみに、人の世界では、ADHD(注意欠陥多動性障害)という診断名ができてから、米国でのADHD患者は、21世紀の最初の10年で43%増加した(AFP通信2009/12/9)。若者では10人に1人以上が診断を受けているのが現状だ。
では、診断名はなぜ必要なのか。人の世界で使用されている「DSM-5精神疾患の分類と診断の手引き」によると、「第1の目的は(中略)、診療患者の精神疾患の診断を助けるためであり、それが各患者に対応した十分に説明された治療計画につながることになる」とある。つまり、